北海道栄の2年生捕手・高村が好リード&3安打で決勝進出に貢献 「(決勝は)伸び伸びプレーできたら」【春季全道大会】
■春季全道高校野球準決勝 北海道栄8―7立命館慶祥 ※延長十回タイブレーク(5月29日、札幌円山)
2年生の女房役が先輩の投手陣を引っ張っている。投手戦から始まった試合は一気に様相が変わった。終盤、共に1イニング4得点のビッグイニングを作るなど最終的には打ち合いに。最後はタイブレークに及ぶ激闘となり北海道栄が1点差で逃げ切った。2年生ながら正捕手に座る高村陽亮捕手(2年)が3安打をマークし、チームを2年ぶりの決勝進出に導いた。
サイクル男の威力を半減、2安打されたが3三振も奪う
強気のリードで相手の主砲の威力を半減させた。1点リードの延長十回2死一、二塁。迎えた打者は準々決勝の白樺学園戦でサイクル安打を記録した立命館慶祥の正津葵捕手(3年)だった。2ストライクから山崎晄投手(3年)に要求したのは内角高めの直球。「エースを信じて、思い切り投げてほしかった」と遊ゴロに詰まらせ、試合を締めくくった。
前の試合で波に乗った正津は要注意打者の一人だった。2安打はされたが、すべて単打で済ませた。圧巻だったのは2打席目から3打席連続三振を奪ったことだ。延長十回でも仕留めた内角高めの直球を多用。「マン振りしてくるので、狙っている球を逆に打たせてあげようと。気持ち良く振らせておいて、後から崩せたらなっていう風に考えてました」と術中にはめた。
多彩な顔ぶれの先輩投手陣
北海道栄は本格派の右腕エース・山崎や、のらりくらりと打者を翻弄する左腕の平、そしてこの日先発し6回⅓を1失点と好投した左腕の石蔵など多彩な投手陣を擁する。そんな先輩方にも臆せずマウンドへ頻繁に声を掛けに行く姿が目立っていた。昨秋は四球を出すことも多かったことから、大きく構えることを意識するなど捕手として必要な気配りを欠かすことはない。
「グラウンド上では立場は一緒。マウンドはやっぱり1人で立つとこなので、とにかく1人って感じさせないように意識をして声掛けをしていました。先頭を抑えたら流れが来るので、三振を取るよりも打たせてリズムよく投げさせるリードを心掛けてやってきました」。
エース・山崎「1個下なのに周りのこともちゃんと見えていて」
バッテリーを組むエースの山崎も「頼りになります。1個下なのに自分のことを引っ張ってくれて、周りのこともちゃんと見えていて、すごくいいキャッチャーだと思います」と一目置いている。打撃でも体を開かないように意識し、適時打を含む3安打を放った。「自分自身初めての決勝なので、とにかく伸び伸びプレーできたら」。1991年大会以来の優勝までまであと一つ。扇の要が全道制覇に挑む。