高校野球
2023/05/30 18:15

北海 昨秋のエース熊谷が4回無失点 右肘炎症から復活アピール「もう完治しました」【春季全道大会】

ケガから復帰し、4回1安打無失点と好投した北海の熊谷投手(撮影・伊丹恒)

■春季全道高校野球決勝 北海13―2北海道栄(5月30日、札幌円山)

復帰戦は最速139キロ 4回1安打無失点で8年ぶりの優勝に貢献

 昨秋の背番号1がマウンドに帰ってきた。最速146キロを誇る北海の熊谷陽輝投手(3年)が北海道栄戦で先発し、今春公式戦初登板を果たした。右肘の炎症でマウンドからは遠ざかっていたが、55球を投げ4回1安打無失点と好投し、順調な回復ぶりをアピールした。8年ぶりの優勝を飾り、目標とする春夏連覇の一つを達成。投手・熊谷が戻ってきたことにより、勝負の夏へ態勢は整ってきた。

「決勝戦の独特な雰囲気で投げられたのは大きかった」

 ブランクを感じさせない投球を見せた。183センチ、93キロの体格を誇る右腕は小気味よく白球を投げ込んだ。最速は139キロをマークし、北海道栄打線を4回1安打無失点に封じた。勝利への道筋をつくり、チームを頂点へと導いた。熊谷は「緊張したんですけど、決勝戦の独特な雰囲気で投げられたのは大きかった」と夏に向けての手応えをつかんだ。

沖縄遠征中に右肘違和感 5月6日の練習試合で1イニング登板も再び痛み

 ぶっつけ本番の先発だった。沖縄遠征中の3月下旬、右肘に違和感を覚えた。同月31日の横浜との練習試合で登板したのを最後に、投球は控えていた。4月のU18日本代表候補の強化合宿を辞退し、回復に時間を費やした。5月6日の釧路北陽との練習試合で1イニング登板したが、再び痛みがぶり返した。慎重な調整を重ね、ブルペン投球を再開したのは今大会に入ってからだった。

 20球、60球と2度のブルペン投球を経て、この日の朝に先発を告げられた。準々決勝では岡田彗斗投手(3年)、準決勝は長内陽大投手(はると、3年)が立て続けに完封していたこもあり「自分も早く投げたかった」とうずうずしていた。準決勝ではブルペンに入ろうともしたが「(部長の)立島(達直)先生に我慢しろって言われました」と苦笑い。

平川監督「(状態は)7割ぐらい。夏は万全の状態で投げてもらえれば」

 その欲求を、約60球の球数制限の中で爆発させた。ホップ成分が50センチ以上ある直球を中心に相手打者のバットを押し込んだ。五回以降は頼りになる投手陣にバトンをつなぎ、大勝に貢献した。「球速以上に押し込めた。もう完治しました」と表情も明るい。平川敦監督(52)は「(状態は)7割ぐらい。うまく調整して、夏は万全の状態で投げてもらえれば」と、春夏連覇を目指すチームにとっても大きな一歩となった。

 春の背番号1は岡田に譲ったが、夏は再び奪いにいく。「やっぱり夏は1番で挑みたい」と力を込めた。岡田、長内の快投があり、熊谷も戻ってきた。投手陣の激しいエース争いは、そのままチーム力向上に直結する。全道だけではなく甲子園で勝つために、もう一段ギアを上げていく。

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