吉田輝星 キング・万波ら「同級生で頑張りたい」 高校時代に仲を深めたミレニアム世代
■イースタン・リーグ7回戦 西武9ー3日本ハム(5月30日、鎌ケ谷スタジアム)
2軍西武戦で2回パーフェクト 5月は6試合計14回5失点(自責3) 防御率1・93
じわりじわりと、輝きを取り戻してきた。日本ハムの吉田輝星投手(22)が30日、2軍西武戦(鎌ケ谷)に八回から登板し、2回をパーフェクトに抑えた。
最速145キロの直球が走り、今季から本格的に投げ始めたカットボールが生きた。2三振を奪い「真っすぐとフォークだけでカウント球も決め球もいっていた去年までと比べると、カットボールがあってすごい楽な感じはある。真っすぐはこの前良くて、今回はちょっと力みましたけど、ファウルも取れていた。1軍で何度も対戦して、いつもしつこく粘られた呉(念庭)さんから真っすぐで空振り三振も取れましたし、いいと思います」と手応えを口にした。
島崎2軍投手コーチ「きょうの投球を続けられれば上に推薦できる」
3、4月は調子が上がらず悩める日々を過ごしたが、ようやく復調気配だ。5月は6試合に登板し、14回を投げ5失点(自責3)、防御率1・93。島崎2軍投手コーチは「きょう(30日)の投球を続けられれば、上(1軍)に推薦できる」と次回以降の登板に期待を寄せた。
高校3年秋の国体で 若きスター候補たちが集結
刺激を受ける男たちがいる。吉田は2001年1月生まれで、00年生まれと同学年のミレニアム世代。今季から大学に進学した同世代が、プロの世界に入ってきた。そんな若きスター候補たちが一堂に会し仲を深めたのが、高校3年秋の国体。右腕は「柿木とか奈良間とかも集まってきて、(藤原)恭大とか、根尾さんとか、蛭間も来て」と当時の仲間の名前を挙げ、懐かしそうに思い出を話し始めた。
「なぜか僕の部屋に全員が来た(笑)」「根尾さんだけ『さん』」
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出場チームの選手たちは同じ宿に泊まり、寝食を共にした。「みんなでわちゃわちゃしてました。食事会場も全員一緒だったんですけど、食べ終わってなぜか僕の部屋に全員が来た(笑)。柿木、奈良間、恭大、根尾さん、蛭間、大阪桐蔭の中川、山田とか、有名な選手がぞろぞろ来て、僕の(金足農の)チームメートが一番困っていました。『サインもらおうかな』とか言っていたので、『ミーハーみたいなのやめろ』みたいな感じで言った思い出がありますね。みんな、結構仲はいいです。根尾さんだけ『さん』なのは、何か根尾さんっぽくないですか? 大阪桐蔭で根尾さんって呼ばれていて、ああ、根尾さん感あるわって思って、根尾さんって」。甲子園を沸かせた男たちが吉田の部屋に集まり、果たして何をしていたのか―。「UNOです。人が多くてよく分からなくても、成立しちゃうんです。自分の高校あるあるみたいな、それぞれの野球部のあるあるをしゃべったり、U18(日本代表)で一緒にやったときの珍事件を思い出して話したりしながらやっていました」と笑った。
この日対戦した蛭間とは 対戦したときの印象を聞いて自信に
今でも交流は続いており、この日、直接対戦があった西武のドラフト1位・蛭間とは連絡を取り合う仲だ。「プロに入ってからも何度か対戦して、対戦した日はバッターから見てどうだったかを聞いたこともあります。1カ月前くらいに対戦したときは、フォームも分からなくなっていて、何が何だか分からない状況で投げていたので、投げ終わって自分の球筋を確認する余裕がない状態だったので、蛭間に聞いてみた。低めの真っすぐを空振りしていたので、そこに手を出すってことは低めに伸びてくるからケアしているのかなって聞いてみたら、『低めから伸びてくるイメージ。すごい打ちづらいよ』って言うのを聞いて、自信になりましたし、高めのカーブと組み合わせるとか、そういう発想も生まれた」。互いに意見を交換しながら、高め合っている。
楽天・荘司は1軍戦で日本ハム相手に好投 九回の投球に「うわー、この気持ち分かるわ」
他の同学年の活躍も、自然と目に入ってくる。28日の1軍楽天戦は映像でチェックし、9回2失点と好投したドラフト1位右腕・荘司に心を奪われた。「めっちゃいいピッチャーですね。全部見ていたんですけど、九回が一番、球が速かったじゃないですか。うわー、この気持ち分かるわーって思いながら見ていた。ああいうピッチングしていると、乗ってくるんですよね」。自身がマウンドに立つことを想定しつつ、ライバルの奮闘を称えた。
「今はマンチューがすごい。ホームラン王、独走しているので。同級生で頑張りたい」
意識する選手はまだまだいる。「(ロッテの)山口とか、プロでもいっぱい1軍で対戦したいなと思いますね。(巨人の)戸郷とかもジャパンのときに知り合って仲良くなった。ヤクルトの浜田も面識なかったんですけど、同級生ってだけでプロですれ違うときにしゃべったり。いろんな選手と仲良くなりたいですね。その分、試合の中では意識する人が増えますけど」。そして、現在絶好調なのがチームメートの万波だ。「今はマンチュー(万波)がすごい。ホームラン王、独走しているので。同級生で頑張りたいなと思います」と力を込めた。
誰がミレニアム世代の旗頭になるかは、まだ分からない。今は2軍でもがく吉田だが、巻き返す時間はまだまだ残されている。同学年に負けたまま終わるつもりはさらさらない。切磋琢磨しながら、世代ナンバーワンを奪いに行く。