《岩本勉のガン流F論》上沢が見せた正真正銘のクオリティースタート
■交流戦2回戦 ヤクルト2ー5日本ハム(5月31日、エスコンフィールド北海道)
巧みなギアチェンジで試合をつくった
上沢が主導権を与えないピッチングを披露した。どういうことか。試合をつくる能力に優れ、ギアチェンジが実に巧みだった。一回、無失点に抑えながらも球数は20球を超えた。ところが、その裏に味方が1点を先制した直後の二回はピシャリと3者凡退。11球で打たせて取った。
七回には完全なイレギュラーヒットで先頭を出塁させたが、後続をきっちりと併殺に封じた。嫌な流れを〝お得感たっぷり〟のダブルプレーで寸断。勝てるピッチャーの特長を示した。
要所をピシャリ これぞ投打がかみ合った試合
しっかりと要所を抑えているからこそ、打線も効果的に加点する。これぞ投打がかみ合った試合と言える。ヤクルト目線に立てば、常に後手後手に回っていて、ずっと苦しい展開が続いている。
6回3自責以内がすべてクオリティースタートではない
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そして上沢は正真正銘のクオリティースタートを見せた。私は、6回3自責以内がすべてクオリティースタートとは思わない。チームに好循環を生んでこそのクオリティースタートだろう。
この日は決して抜群の状態でもなかった。コーナーのコントロールに苦慮する場面もあった。そういう時には奥行きを駆使。縦のカーブや落ちる球を使った。これが危機回避能力。先発完投型の大黒柱がいる。上沢の存在はファイターズにとって非常に大きい。
玉井のセーブにも大きな価値
玉井にセーブが記録されたのもプラスだ。抑えには今、田中正がいるが、「俺もいるぞ」と。ブルペンの分厚さを示す3アウトだった。
加藤豪に福田光 存在感を示した左バッター
打線もしかり。加藤豪が2連発。アベレージだけではなく、一発もあるぞということを見せつけた。万波、野村と右打者が確実に成長中。清宮が離脱中の今、福田光も含めて左打者が存在感を示したのは、チームにとってめちゃくちゃ大きい。
交流戦での大ブレークを予感させる活躍ぶりだった。