逆輸入ルーキー加藤豪 日本1号&2号 〝新庄スカウト〟も大喜び
■交流戦2回戦 ヤクルト2ー5日本ハム(5月31日、エスコンフィールド北海道)
ドラフト指名を猛プッシュした指揮官も破顔 圧巻の2本塁打
〝敏腕スカウト〟の目はホンモノだった。日本ハムのドラフト3位ルーキー・加藤豪将内野手(28)が31日、エスコンフィールド北海道で行われたヤクルト戦で、NPB初本塁打を含む2本のアーチをかけた。米大リーグを主戦場にしていた加藤豪に目をつけ、指名するようフロントに猛プッシュした新庄剛志監督(51)も大喜びだった。
1打席目の二ゴロで修正 フォーム切り替えが奏功
米国から逆輸入された超即戦力新人が、本拠地で大暴れした。1点リードの三回、ヤクルト先発の市川に対し、フルカウントから直球にアジャスト。右中間席へメモリアルな日本1号を放った。2点リードの五回には市川のスライダーを捉え、同じく右中間へ2号。自身初という2打席連発でファンを沸かせた。
伏線は二ゴロにとどまった一回の打席。右足を上げる打撃フォームがフィットしないと悟り、2打席目からノーステップに切り替えた。経験を積み重ねてきた分、困った時の引き出しを用意している。大胆な選択は功を奏し「1打席目がタイミングが合わなかったので、ちょっと工夫して変えてみました。2本は僕もビックリです」と表情を崩した。
ヒーローインタビューで感謝の気持ちを表現
3月中旬、右腹斜筋肉離れで戦線離脱し、開幕1軍に入れなかった。2カ月以上の長期離脱は苦しかった。新球場で初めてお立ち台に上がり「鎌ケ谷でリハビリしている時に、トレーナー、コーチに支えられた。いろんな人が協力してくれたから、ここにいる。本当に幸せです」と喜びと感謝を表現した。
新庄監督の目に狂いなし 入団前から日本での活躍を確信
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加藤豪の活躍を信じて疑わなかったのが、新庄監督だ。試合後、囲み取材に応じ「えー、加藤豪将くんのスカウト誰だっけ?」と、とぼけた口調で切り出すと、自らを指さしてニヤリ。報道陣の笑い声を聞きながら「うれしい。スカウトになった気分やね」と格別の喜びに浸っていた。
指揮官は昨春の段階で加藤豪の日本球界入りの可能性を探っていた。米国で過ごし、メジャー昇格を勝ち取った実力に加え、タフな精神力を買っていた。「マイナーでの生活が長く、何年もかけてメジャーにいって結果を出した。日本に来たら、もうレギュラー扱い。期待は感じているだろうし、そのやる気というのは、全然違うだろう」。その予測が正しかったと、証明された。
日常生活も日本流にアジャスト 好物は豚のしょうが焼き
日本の野球は未体験だったが、高い適応力を見せている。日常生活でもそうだ。治療、リハビリの期間は千葉県内で1人暮らしだったが「自炊です。マイナー時代から鍛えられたので」と料理も苦にしなかった。米国とは違う日本のスーパーの配置に戸惑い、1時間ほどうろうろすることもあったが、すぐに慣れた。好きなメニューは豚のしょうが焼きで「チューブのしょうがを買って、豚肉とタマネギで調理。イチローさんがカレーを毎日食べていたように、自分も毎日しょうが焼きでいい。しょうが焼きマスターになって復帰します」と笑って明かしていた。
ユーティリティーさが強み 「いっぱい作戦を実行。対応できている」
1年目から強烈なインパクトを残している加藤豪。目指す選手像はハッキリしている。「ユーティリティープレーヤーとして、いろんな場面でいろんなことができる。(日本ハムは)すごいいっぱい作戦を実行するチームですが、それにも対応できていると思います」。異色の球歴を刻んできた男は今、ファイターズに欠かせないピースになろうとしている。
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