《柏戦後》1点でも多く相手より取って勝つことを目指している
■J1第16節 柏4-5札幌(3日、三協フロンテア柏スタジアム)
-試合を振り返って
柏は今年、自分たちが思ったようなポイントをなかなか積み重ねられない中でここまで来たが、柏が非常にすばらしいチームであることは変わらない。ただ、これまでポイントを重ねられなかったことで、監督を代えて新たなモチベーションでリーグ戦を戦う状況なのだと思う。やはり、この柏でのアウェー戦は、アウェーチームにとっては決して簡単ではない試合が多いと思うし、我々札幌にとっても今日のゲームは非常に難しいゲームだったと思う。
我々は立ち上がりからプレッシングをかけて相手のボールを奪ってゴールに向かうという、いつも通りの戦い方で試合に臨み前半を戦った。もちろん相手も我々の狙いがわかっていた中で、前に起点となる選手を入れて長いボールを入れる形で対抗してきたと思う。ただ、前半は選手たちが非常にすばらしいプレーを見せていて、全てのチャンスが決まっていたら7、8点取れていてもおかしくないぐらいだった。我々の狙いが出せた前半だったと思うし、もしかしたら私が札幌を率いてからベストに数えられる、そんな前半であったと思う
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札幌は失点が多いというふうに言われると思うが、この5年半、我々は攻撃に特化したチームをつくり攻撃に特化したチームとして戦っている。リスクを負って攻撃を仕掛ける中で、1点でも多く相手より取って勝つことを目指している中で、もちろんそれだけ点を取りに行けば反対に取られるリスクもある。今日のゲームも我々は勝ったが失点が多いことを皆さん指摘したいところだと思う。3-1でリードする中でのCKのシーンで我々は4点目を取りに行った。何回もブロックされながらシュートを撃ちに行った。その撃ったボールが不幸なことに相手の14番の前に転がって独走されてしまう非常に不運な形だった。我々が後ろにもう一人置いておけば、その失点を防げたかもしれないが、そういう中でも一番後ろの選手が撃ちに行くゴールを狙いに行く選択をした結果があの失点であったと思う。たらればではあるが、もしかしたら逆にそこでゴールが入っていたかもしれない。我々がゴールを目指していく戦い方の下で起こってしまった出来事だった。
我々のチームは非常に攻撃に特化したチームであり、選手一人一人も攻撃に関わっていける選手たちだ。今日私が監督としてうれしかったのは中村桐耶選手。22歳の選手だが、すばらしいプレーを見せてくれた。それが私にとっての今日の非常にうれしい出来事だった。ただ若い選手が活躍すると幸せな半面、多くの心配をしなければいけないのが私の心の中にある。札幌は資金力があまり多いクラブではない中で、いい活躍をすれば特に若い選手は抜かれていってしまう。そういうサイクルで回っているチームだ。金子や小柏や今日の中村もそうだが夏の移籍期間がオープンすれば、私の寝れない日が続いてしまう心配をしなければいけない。今日のようなプレーを見せてくれたことを私自身は非常にうれしく思って、反対にまた心配事が増えてしまったということだ。
今年はすでに来年に向けて2人の大学生を獲得することが決まっているが、今の札幌で活躍する選手たちが抜けていけば、また来年は0からそういう選手たちを育てていくしかないサイクルではある。高嶺朋樹選手がそのいい例だが、3年間私の下でプレーして代表には選ばれることはなかった。さらなる成長を求めて柏に移籍したわけだが、もし朋樹が我々のチームに残っていたら私は彼をさらに成長させてあげることができたかもしれない。それはたらればではあるが、今彼はおそらく柏でなかなか自分が思ったような成長の軌道を描けていないのではないかなと思うが、私が親心として願うことは、彼が成長してすばらしい選手になってくれることを心から望んでいる。
チームのコンセプトで戦うことが非常に大事だということだ。若い選手は多くのサラリーをもらえるところに行ってしまうのがサッカー界の仕組みではあるのかもしれないが、オシムさんがすばらしいチームを築いた千葉もそれに近いことがあったんじゃないかなと思う。たくさんのすばらしい選手がいたが、なかなか移籍先では活躍できなかったという過去がある。我々のチームも、進藤やチャナティップや朋樹といった選手たち、札幌で活躍している選手が移籍してなかなか思うような活躍ができていないことは、札幌というチームが、しっかりとチームコンセプトの中でそれぞれの選手の個性を生かす戦い方をしているチームだということ。そういった戦い方の中で、選手一人一人の個性も含めて成長していってくれればなと思った。ここには日本を代表するジャーナリストの方もいらっしゃるので、こういう話を書いていただいて、日本サッカーの一つの考え方として発信してもらえればなと考えている。
-中村をボランチで起用した意図は
昨年の終わりから今年のキャンプを通しても非常にすばらしいプレーを続けている中で、日々いいプレーを見せてくれているからこそ今日は先発で起用した。桐耶に関してはユースからトップチームに上がってきて伸び悩んでいた中でJFLのHondaに移籍して、試合に出る経験を積んでほしいという思いで出したが、Hondaでもレギュラーを取れない中でGMの三上さんに言ってうちの選手だから戻してもう一回成長させるために頑張って指導していくと話し、彼が日々のトレーニングから頑張ってくれた。そういう中で今日の彼のプレーがある。彼のそういった積み重ねがすばらしく、いいプレーを日々見せてくれたからこそ今日は先発で起用した。このまま続けていけば代表選手になれるくらいの素材はあるかなと思っている。