「元気か？　俺はボチボチやな…」。その声を聞くだけで心が和んだ。年に１度の交流戦。記者は巨人３連戦を特に楽しみにしていた。目的は、日本ハム時代にとてもお世話になった中田に会うことだった。今カードの練習前には、宮西や松本剛、伊藤ら元チームメートが中田とあいさつを交わし、談笑する姿を何度も見かけた。

　初めてペンを握った２０１５年シーズンからほぼ毎試合、チームの顔だった男の動向を追いかけた。活躍した日も打てない日も、しつこくコメントを取りに行った。ご機嫌斜めな日も当然ある。時には「おまえ、毎日来るな。もう来ないでくれよ！」と、どやされることもあったが、その後の取材はいつだって真摯に対応してくれた。

　チームメートから〝大将〟と呼ばれ慕われた中田は、メディアに対しても優しかった。ゲーム後に「もう飯は食ったか？　腹減ってるやろ」と声をかけられ、食事に招いてもらう機会も少なくなかった。多くの時間を共有してくれたことを今でも深く感謝している。

　４日の試合では、今カード初の先発出場。スタメン発表の場内アナウンスで名前がコールされると、一番の歓声が巻き起こっていた。人気者たるゆえんを知っているから、ファンの反応が何よりうれしかった。