《岩本勉のガン流F論》チームのあり方とは実に、人生そのもののようだ
■交流戦3回戦 日本ハム10ー3巨人(6月4日、東京ドーム)
やるべきことを遂行した北山 自身の適時打も好投に拍車
先発した北山。先頭打者ホームランこそ浴びたが、地に足を着け、自分の役割を果たした。世の中で言うところのクオリティースタート(6回以上で自責点3以内)を披露した。
リリーフから転向した北山が今、やるべきこと。それは先発としてイニングを稼ぐこと。尻上がりの調子で、結果的に自己最長&最多の7回101球を投げた。先頭打者弾は当然、ガクっとくる。だが、活発な打線が背を押し、一気にピッチングを好転させた。自らのタイムリーも好投に拍車をかけた。
しっかりとバッターと勝負 野手の目にも映っただろう
打線の援護なくして成立しない尻上がりの投球。逆に投球のリズムなくして打線のバックアップもない。北山はヨーイドンで本塁打こそ打たれたものの、ファーストストライクを取り、ベースの上でしっかりと勝負できていた。「独り相撲にはならない」。「しっかりとバッターと向き合っている」。野手の目にもそう映っただろう。
新庄監督に決断させた六回の一挙4得点
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7回101球。先発としてさらに上のステージ、今まで見られなかった景色を眺めることができたのも大きい。六回に4点を奪い、巨人を突き放したことで、新庄監督は彼に新しいステージを用意することを決断したはずだ。あの4点がなければ、早々と継投策に出ても不思議ではない展開だった。
後半、若干ボールが暴れ出した。ただ、ここを乗り越えなければ、さらなる成長はない。数年前までの加藤貴もそうだった。長いイニングを経験することで、能力の停滞を一気に打破した。
チーム内相乗効果あり 得点内容も抜群
攻撃陣のつながりは良い。加藤豪や万波ら好調な選手が打線を引っ張り上げ、この日、野村が3ランを含む2安打を放った。これこそがチーム内相乗効果。逆転し、追加点を奪い、さらにダメを押す。得点の内容も良かった。
今、ファイターズに強さを感じる。ただ、一つの落とし穴で、ガラリと状況が一変するのがプロ野球。その気になっていいが、謙虚さを忘れてはいけない。とはいえ、謙虚が過ぎると、卑屈になる。難しい。チームのあり方とは実に、人生そのもののようだ。うまく、今の強さを持続させていってもらいたい。