札幌MF宮澤 劇的勝利(5-4)柏戦を回顧 自らチーム5点目をアシスト
■6月5日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場
後半43分に途中出場 決勝ゴール呼び込んだ
5-4という大乱打戦になった3日の柏戦(三協F柏)。MF宮澤裕樹主将(33)は後半43分から途中出場し、DF田中駿汰(26)が挙げたチーム5点目をアシストした。頼れるキャプテンが劇的ゴールの場面を振り返った。
「上に行くチャンスがあった名古屋戦で勝てなかった。ここで連敗してしまうと、ずるずる下に行ってしまう可能性もありましたし、上に食らいついていくためには連敗はしてはいけないと、チームで話をしていました」。連敗阻止への思いをチーム内で共有して臨んだ柏戦。その決勝ゴールを演出したのはチームの大黒柱、キャプテン宮澤だった。
土壇場で同点も、貫いた自分たちのスタイル
4-3でリードしていた後半43分に、MF深井一希(28)と共にピッチへと送り込まれた宮澤だったが、同アディショナルタイム1分にCKから柏に同点ゴールを決められてしまう。
残り時間はわずか。敵地での戦いで、相手が同点となって勢いづいていることを考えると、しっかり守りを固めて勝ち点1を取りにいくという選択肢もある。だが、札幌は「ボールを前に運びながら、チャンスがあればゴールを奪いにいく。相手がボールを保持していたら、しっかり守らなければいけないという感じでしたけど、自分たちがボールを持っていたので、人数をかけて(攻めた)という感じですね」。最後までいつも通りの自分たちのサッカーを貫いて、勝利を狙いにいった。
2分後に再び勝ち越し 巧みだったオフザボールの動き
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その勝利への執念が結実したのが、同アディショナルタイム3分。右サイドから敵陣へ上がって行った宮澤は、MFスパチョーク(25)が敵に囲まれながら必死でボールキープする中で、一気にペナルティーエリア内へと進入。オフザボールの動きで相手を振り切り、田中駿から受けたパスをワンツーでリターン。中央の動きを横目で見ながら、ゴール右手前へと突進した。
「(駒井)善成を見てました。最初、駿汰に落とした後にもう一度もらおうとして動き出したんですけど、善成に行ったので、そのタイミングでと、3人目の動きみたいな感じになりました」
駒井からのパスを頭で田中駿へ 「タイミングを意識して落とした」
MF駒井善成(30)からのヘディングパスをDFラインの裏で受けると、宮澤も頭で田中駿へと折り返した。「(オフサイドラインは)間接視野で入ってましたけど、自分がオフサイドなのかオンサイドなのかはギリギリのところでした。善成のボールが(ヘディングシュートができる)スペースに来なかったので、落とす選択をして、タイミングを意識して駿汰に落としました」
折り返しを受けた田中駿が右足でシュートを放つと、ボールは柏ゴールへと吸い込まれた。ネットが揺れた直後に副審がフラッグを上げ、宮澤が頭で折り返した位置がオフサイドだったという判定が下されるが、ここでVARのチェックが入った。「オフサイドかどうかは分からない状況だったんですけど、待っている間にベンチを見た時、映像を見られるベンチの選手が喜んでいたので、ゴールなのかなと感じました」
激闘の末につかんだ勝ち点3 サポーターと分かち合った喜び
VARのチェックが終わり、下された判定はオフサイドなし。札幌のゴールが認められ、宮澤はDF岡村大八(26)と共に、殊勲の田中駿と固く抱き合った。「うれしかったですよ。勝たないといけないゲームでしたから、何とか勝ち越せて良かったなって気持ちでした」
土壇場で1点リードを得た札幌は、最後まで攻める姿勢を見せ続けたまま、柏との一戦を終えた。試合後、選手たちは敵地まで駆けつけた大勢のサポーターと、間近で喜びを分かち合った。
さらに膨らむ勝利への欲 「一緒に戦っている。喜ばせたい」
「あれだけ臨場感があって、自分たちもサポーターの表情や声を間近で受けられるスタジアムって数少ないので。一緒に戦ってくれてることへの感謝の気持ちがありましたし、勝って喜ばせたいなって気持ちが芽生えました。その期待に応えられて良かったです」
ピッチと観客席が近いことで有名な三協フロンテア柏スタジアム。選手とサポーターは至近距離で気持ちを一つにした。さらに一丸となって、札幌を上位へと押し上げていく。