《岩本勉のガン流F論》上沢は今季、キャリアハイをマークする可能性が高い
■交流戦3回戦 広島7-2日本ハム(6月8日、エスコンフィールド北海道)
上沢が示した冷静さと投手陣を背負う責任
さすが上沢。敗れはしたが、彼の持つ冷静さ、そして先発投手陣を背負う責任を見た。
自責点1の4失点とはいえ、味方が先制した直後の三回に同点とされた。しかも無死三塁から2死までこぎ着けながらタイムリーを浴びた。五回の3失点もそう。無死満塁から2死満塁まで持っていきながら3点を奪われた。そこは当然、本人も反省しているはずだ。
モニター越しに映った姿 納得し首脳陣に身を委ねた
ところが、だ。六回以降はわずか1安打。2―4で八回を終えた。ベンチに戻った上沢の元に建山コーチが歩み寄り、言葉を交わす様子がモニターに映し出された。
まだ2点差。試合の行方は分からない。熱くなって続投を志願してもおかしくないシーンで、彼は納得したように首を縦に振り、九回のマウンドをリリーフに託した。
何を求められているか。それを理解している選手は、そう多くない
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この試合が今季最後ならば、続投もありだ。ペナントレースはまだ半分以上を残している。絶対に先発ローテーションから欠いてはいけない存在。それが上沢。その事実、首脳陣の思いを理解しているからこそ、黙って采配に身を委ねた。
次は必ず、チームを勝たせるだろう。そして、今季キャリアハイをマークする可能性も高い。そう私は強く思う。自分は何を求められているのか。それを理解している選手は、そう多くはない。
痛い〝ミス〟を犯したロドリゲス&清水のバッテリー
一方、許されないミスを犯したのが、リリーフ登板したロドリゲスであり、捕手の清水だ。九回2死一、二塁で田中広に初球を本塁打された。この一発で試合は決した。
結果ではない。そこに至る過程の問題だ。2死から四球、盗塁、申告敬遠で一、二塁とされた。打席には途中出場の田中広。経験のあるバッターで、前の打席では右前打の後、けん制でアウトになっていた。
徹底した意識づけの欠如と大失投で試合は決した
「いま一度、存在感を示したい」「リベンジしたい」と欲の塊となっていたベテラン野手。その初球。絶対に気を付けなければいけない。空振りさせるか、ボールにするか、または凡打させるか、ファウルさせるか。投げミスは許されない場面で、チェンジアップが抜けて高めに浮いた。
これはロドリゲスだけの問題ではない。清水も、もっとジェスチャーによる指示が必要だった。徹底した意識づけの欠如と大失投がゲームを決めてしまった。
バッテリーに存在する「相談→決断→行動」の流れ
バッテリー間には「相談→決断→行動」の流れが存在する。強いバッテリーは「行動」の前、瞬時に「確認」が加わる。次回に生かしてもらいたい。