《鶴岡慎也のツルのひと声》防御率1点台に6勝。うなずける鈴木の投球
■交流戦1回戦 阪神0ー4日本ハム(6月9日、エスコンフィールド北海道)
江越のスーパープレーが呼び込んだ流れ 追い風にした鈴木
一回の守備。江越にスーパープレーが飛び出し、ファイターズが流れを引き寄せた。2死一塁で4番の大山が中前打。三進を狙った一走の前川を好返球で刺した。野球には流れが存在する。良いプレーが出たチームは勢いに乗り、やられたチームには言いようのない嫌な雰囲気が漂う。
その流れを追い風にしたのが先発の鈴木だ。一回のピンチを切り抜け、万全のペースに持っていけた。ストレートのコントロールは抜群で、シンカーやスライダーも巧みに操れていた。
左の強打者・佐藤輝に効果を発揮したボールとは…
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特にスライダーが良く、左バッターへは外からのバックドアが効果的だった。右打者のアウトコースへも実にうまく制球されていた。
さらに目を見張ったのが佐藤輝へ投じていた高めのスライダー。ローボールヒッターの強打者にとっては弱点ともなりえる。アンダースローから放たれるボール。浮き上がってくる軌道はなかなか、つかみ切ることが難しい。また一つ、引き出しを増やした。
間延びしたペースに乱されることなく6回無失点
ペースを乱すこともなかった。相手ピッチャーの球数が増えたことで、間合いが長くなっていた。時にそういうペースに巻き込まれてしまうケースも少なくない。ただ、鈴木はテンポ良く、ストライクを取り、自分のペースを崩さなかった。高い投球術と巧みなマウンドさばきを披露し続けた。1点台の防御率にハーラートップタイの6勝。うなずける。
光った伏見の好リード 2戦目以降に布石も打った
鈴木、リリーフ陣の好投を引き出した伏見のリードも見事だった。左バッターのインハイを徹底して攻めた。ミーティングで何度も確認したのだろう。2戦目以降への大きな布石ともなった。
あえての課題は二塁への送球 まだまだ伸びていく選手
加えて先制の2点タイムリー。充実の内容だった。あえて課題を挙げるならば、2つ許した盗塁。今季は二塁への送球が安定していない。私も経験しているが、そういうシーズンもある。肩で投げるのではなく、足で。好送球には良いステップが不可欠だ。
まだまで伸びていく選手。セーフのタイミングは仕方ないという割り切りも大事だ。刺せるタイミングだけ、しっかりとアウトに取るという意識で臨んでいけば、いつしか良いボールが行くようになる。