江越 恩返し弾の陰に森本〝打撃コーチ〟の助言
■交流戦1回戦 阪神0ー4日本ハム(6月9日、エスコンフィールド北海道)
3ー0の四回に追撃の4号ソロ 新庄監督も驚きの一打
両軍のファンが、躍動する背番号37に大声援を送った。日本ハムの江越大賀外野手(30)が9日、エスコンフィールド北海道で行われた阪神戦に「1番・中堅」で先発出場。四回2死で迎えた第3打席で4号ソロを放ち、価値ある追加点を叩き出した。古巣から放った一発を「何も考えていなかったです。振ったところにボールが来ました!」と、うれしそうに振り返った。
コンパクトなスイングから放たれた打球は、低い弾道を保ったまま右翼フェンスを越え、味方ブルペンに飛び込んだ。驚がくの一打を見届けた新庄監督は「右方向に左バッターのような打球を打てる。本当に魅力がありますね。僕はああいう打球を1本も打ったことがない。当たれば、すごい」と驚きの表情だ。
虎党からの応援に感激 「打席に向かう時も感じられた」
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球場全体から降り注ぐ拍手を浴びながら、気持ち良さそうにダイヤモンドを一周した。江越は「うれしすぎて(歓声が)聞こえなかったです。本当に打てたので、びっくりしました」と冗談交じりに喜びを表現。主役の働きを求められた男は、見事に役割を演じきった。
昨季まで8年間在籍した古巣・阪神との交流戦。全体練習前の早出特打中に、指揮官から直接1番での起用を伝えられ、高揚感を抑えきれなかった。「本当に楽しみにしていたし、試合前からソワソワしていた。阪神ファンの応援がすごくて、それを打席へ向かう時にも感じられてうれしかったです」。驚きの打順、コーチの助言。全ての歯車がガッチリかみ合うことでストーリーは完成した。
指揮官の要請で森本コーチが特別指導 的確なアドバイスが即、結実
活躍への布石は、以前から打たれていた。活躍の陰には森本コーチによるマンツーマン指導があった。同コーチは「ボスから『バッティングを教えて』と指名された。(打撃コーチの)八木さんも『それはやってくれ』と。何日か前から中(ベンチ裏)でやっていた。まさか外野守備コーチがバッティングを教えると思わなかったね」と、その舞台裏を明かす。
8日からは全体練習前にロングティーを行い、右打ちの感覚を養った。森本コーチは「反対方向に遠く飛ばすのは体の使い方が大事。まさか本塁打を打つと思わなかったのでびっくり。今までも1日、2日、結果が残ることはあったけど、トータルで成績を残すことが目標なので、根気強くね。彼の能力からいったらまだまだ。指名を受けたので今後も結果が残るように頑張ります」。抜群の身体能力を誇る右打者は、自身の現役時代の姿とも重なる。〝臨時打撃コーチ〟の的確な助言があれば、成長はより加速するはずだ。
2戦目のスタメンも確定 「勝ちに貢献できるように」
この日の試合後、新庄監督はカード2戦目も江越を先発で起用することを明言した。伝え聞いた本人は「やることは変わらない。あしたも打てればいいですけど、とにかく勝ちに貢献できるよう頑張ります」。新天地での活躍が、長く活躍を願ってきたファンへの恩返しになる。