3年目・生田目 プロ初勝利 退任・指揮官に恩返し
■日本ハム6-2西武(19日、メットライフドーム)
ついに最下位脱出―。日本ハムは19日、西武に6―2で勝利し、4月1日以来の5位に浮上した。今季初登板となった3年目の先発・生田目翼投手(26)は、6回1安打1失点と好投。今季限りで退任する栗山英樹監督(60)への恩返しとなるプロ初勝利を挙げた。打っては生田目と同期入団の野村佑希内野手(21)が五回に勝ち越し3ラン、万波中正外野手(21)が九回にダメ押し2ランを放って援護した。
待ちに待った瞬間が訪れた。社会人でプロ入りした生田目が入団3年目で初勝利を挙げた。即戦力と呼ばれたが、過去2年は1軍の壁にはね返されてきた。西武打線を1安打に抑え、6回1失点。「すごいうれしいですね。野球をやっていて良かった」と格別の喜びに浸った。
153キロを計測した直球を軸に組み立て、カットボール、フォークなどの変化球を要所で織り交ぜた。三回まで無安打投球。四回に死球と安打でピンチを招き、犠飛で1点を失ったが、ペースは乱さなかった。六回2死で森に四球を与えると、マウンドに来た荒木投手コーチから「ねじ伏せろ」とハッパをかけられた。気持ちを入れ直し、山川を一邪飛に打ち取ると、感情むき出しで右拳を何度も握った。
ネガティブ思考を克服した。150キロを超える直球と多彩な変化球を操るが、勝てなかった。過去2年は大事な局面で弱気になる傾向があった。今年2月の春季キャンプ中、ブルペン投球を見守った栗山監督から「なんでオレの方がおまえのことを信じているんだ。もっと自分を信じて投げろ!」と、愛のムチを受けていた。
いつも、気に掛けてもらっていた。試合後は少し荒っぽく背中を叩かれ「普通にやりなさい。やっと間に合ったな」と祝福された。能力を疑わず、待ってくれた指揮官は今季限りで退任する。
ユニホームを脱ぐ前に一つ、期待に応えた。「3年間『おまえはこんなもんじゃない』と言ってくれていた。何とかシーズン終わりですけど、監督に(勝利を)見せられた。結果で恩返しできたかなと思います」と深く感謝した。
今季は正念場と位置づけていた。内心、不安や葛藤もあった。「シーズン終盤でそろそろ、戦力外も出ているので。僕の中では…楽しんでやろうと、開き直っていきました」。日通時代に指導を受けた武田久氏(日本製鉄東海REXコーチ)もプロ3年目に飛躍のきっかけをつかみ、リーグを代表するセットアッパー、守護神になった。苦しみ、試行錯誤した日々は回り道ではない。背番号13はこの日、本当のスタートラインに立った。