逆輸入ルーキー加藤豪がV打 新庄監督の〝バレバレ打て指令〟に燃えた
■交流戦2回戦 阪神3ー4日本ハム(6月10日、エスコンフィールド北海道)
同点の八回無死一、二塁で勝ち越しタイムリー 珍しくほえた
あふれる感情を制御できなかった。日本ハムの加藤豪将内野手(28)が10日、エスコンフィールド北海道で行われた阪神戦の八回に決勝の中前適時打を放った。一塁を回ったところで走者の生還を見届けると、拳を握り、荒々しくほえた。ベンチが選択した強攻策に燃え「ただ叫んだだけ。普段、球場では感情が出ないんですけど、あそこは出ちゃいました」と喜びをかみしめた。
スイッチを入れた新庄監督の「打て」
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同点のまま終盤を迎え、1点勝負の様相が色濃くなっていた。八回無死一、二塁。千載一遇のチャンスだった。後ろには4番の万波、5番の松本剛、6番の野村が控えている。当然のように送りバントが脳裏をよぎった。阪神が守りのタイムをかけたタイミングで、作戦を確認するため、ベンチに向かって歩きかけた。加藤豪は思わず、面食らった。
新庄監督が強くバットを握るしぐさをしていた。紛れもない「打て」のポーズ。阪神ベンチに対して一切、隠そうとしていなかった。「打てという合図を堂々としていて。相手に見せるような感じでやってて…」。裏をかく強攻ではなく、全てを託されたサイン。信頼が詰まった無言のエールを受け「不安がなくなった。こういう場面で信用してもらって、打てないわけがないと思った」とスイッチが入った。
好投・大竹の失投を見逃さず 「一球勝負だなと思いました」
ゲッツー狙いの阪神バッテリーから徹底して低めを攻められた。引っかけて内野ゴロが最悪のシナリオ。互いの思惑が交錯する中、カウント2―2から少しだけ浮いた139キロのツーシームを中前にはじき返した。好投していた大竹の111球目。「最後の最後。ピッチャーも疲れていた場面で、やっと初のミス(失投)ですね。一球勝負の野球だなと思いました」と小さくうなずいた。
ファイターズに欠かせない戦力 虎党のヤジは自然スルー
日本で経験する初めての阪神戦。ホームにもかかわらず、伝わってきたトラの熱狂的な応援には驚いたという。ただ、米国で生まれ育った逆輸入ルーキーの心が揺さぶられることはなく「すごいですね。ちょいちょいヤジもあるみたいですが、僕はなまっている日本語(関西弁)が分からない」と笑った。
前カードは広島に3連敗したが、セ・リーグ首位を相手に連勝。持ち直してきた。自信はある。「どのチームが相手でも勝てると思っている。別にセの1位でもパの1位でも勝って当たり前だという気持ちでプレーしている」。過酷な環境の米球界でもまれ、培われた技術とメンタルが今、ファイターズの大きな武器になっている。