17日から侍ジャパン大学代表選考合宿 プロ注目の仙台大・辻本遊撃手(北海高出)が神宮で示した現在地
全日本大学選手権ベスト8へ導いた道産子主将 3試合で打率.333、1本塁打6打点
プロ注目の遊撃手で、仙台大で主将を務める辻本倫太郎内野手(4年、北海高出)が、11日まで明治神宮野球場で行われていた全日本大学野球選手権で躍動した。打っては3試合で打率.333、1本塁打、6打点。守備でも広い守備範囲で投手陣を盛り立てるなど、チームの9年ぶりベスト8進出に大きく貢献した。ドラフトイヤーの今季、全国の晴れ舞台でアピールに成功。杜の都で実力を磨く道産子が、さらなる進化を目指す。
東日本国際大戦では決勝3ラン 「マジで勝てて良かった」
6月7日、東日本国際大との2回戦。3-3で迎えた七回だった。「3番・遊撃」で先発出場していた辻本は、1死一、二塁から左中間へアーチを架けた。試合を決める勝ち越し3ラン。何度も雄叫びを上げながら、ダイヤモンドを一周した。試合後は「マジで勝てて良かったと思います」と安堵の表情を見せた。「明日勝てば、仙台大史上最高成績なので、明日も絶対勝ちます」と意気込んでいたが、翌8日の準々決勝は明治大に0-5で敗戦し、新たな歴史をつくることは叶わなかった。
それでも、3試合通しての存在感は抜群だった。「1年のときからキャプテンをやりたいっていう風に周りにも言っていた」と〝有言実行〟で今季から主将に就任し、240人以上の部員をまとめている。ミーティングはこれまで以上に細分化。投手、野手のお互いに気になるところを指摘し合わせるなどして、チーム力を高めてきた。「10番を背負わせてもらっていて、周りからも見られている。仙台大学の顔なので、立ち振る舞いだったりとかっていうのは意識するようにしています」と自覚も十分だ。
昨季打率3割未満も今年の春季リーグ戦で3割超え「まだ調子は上がりきっていない」
プレーの面でも向上心は尽きない。昨年の春季、秋季のリーグ戦は共に打率3割に満たなかったが、今年の春季リーグ戦ではキャリアハイとなる打率.342をマーク。全日本大学選手権でも結果を残し、打撃での成長を見せつけた。それでも辻本は「良くはなっているけど、まだ調子も上がりきっていないし、自分にもっと厳しくいかないといけない」と、現状に満足することなく、さらなる伸びしろを感じさせた。168センチ、73キロの小柄な体格ではあるが、スタンドに放り込むパンチ力を持ち合わせる。
攻める守備を意識する遊撃手 「引いている守備では、上にはいけない」
遊撃手として広い守備範囲も魅力だ。ゴロにしっかりとチャージを掛けて、前でさばくことができる。辻本は「引いている守備をしているようでは、上にはいけない」と常に攻める守備を意識している。「準備、確認を一球一球、集中を切らさずにやることを一番気にしている」と、投手や周囲の選手への声掛けを欠かすことはない。ピンチを脱したときはガッツポーズしながらベンチに引き揚げるなど、主将としてチームを鼓舞する姿は、まさに大黒柱だ。
すでに〝侍デビュー〟 昨年7月の国際大会は3年生ながら5試合に出場
6月17日からは「侍ジャパン」大学代表の選考合宿に参加する。昨年に〝侍デビュー〟を果たしており、同7月にオランダで行われたハーレムベースボールウイークでは3年生ながら5試合に出場。世代トップの内野手として、注目度は高まっている。「(周りに)見られるようになったので、自分の自覚も変わってきた」と辻本。最終学年を迎え、心技体は充実。再びチームを全国に導くことで、プロ入りを確実なものとする。
■プロフィール 辻本倫太郎(つじもと・りんたろう) 2001年8月11日、札幌市出身。東札幌小3年の時に東札幌ジャイアンツに入る。同6年でファイターズジュニアに選出され、NPB12球団ジュニアトーナメントで3位。札幌日章中時代にプレーした札幌南リトルシニアでは2年秋の全道大会で優勝し、道選抜代表として「日台国際野球大会」に出場。翌春の全国選抜に出場した。北海高では、1年秋からベンチ入り。2年秋からは主将を務めたが、甲子園出場はできなかった。168センチ、73キロ。50メートル6秒2、遠投は100メートル。右投げ右打ちの内野手。好きな言葉は「一陽来復」。家族は両親と兄。