PK自ら決めた札幌MF深井 ルヴァン杯8強決定で初タイトルに意欲「あの経験があるので次は違う結果になる自信がある」
■ルヴァン杯グループステージ最終節 札幌2-3磐田(6月18日、札幌ドーム)
静寂から歓喜の拍手 他会場の結果により2年ぶりのプライムステージ進出が決定
試合終了を告げるホイッスルが鳴り響いた瞬間、札幌ドームは静寂に包まれた。引き分け以上で自力での8強進出が決まる一戦で敗れたため、札幌の運命は他会場の結果に委ねられることとなってしまったが、各地の試合が終了し、無事に〝合格ライン〟を突破。場内アナウンスでそのことが告げられると、安堵したサポーターからは拍手が沸き起こった。試合後、記者会見に臨んだミハイロ・ペトロヴィッチ監督(65)も「今日は決して良いゲームではなかった」と、内容については厳しい評価を下したものの「唯一、ポジティブだったのは、グループステージ突破という自分たちの目標を達成できたこと」と語り、安堵の表情を浮かべた。
敗退が決まっているJ2・磐田相手には「もっと圧倒するような試合をしなければ」
ケガからの復帰後、公式戦で6試合連続出場中のMF深井一希(28)は「全体的に体が重かったかなとやっていて思いました。もっと圧倒するような試合をしなければいけなかったと思います」と反省。だが、8強入りという結果については「うれしいです。グループステージで、一試合一試合、戦ってきた結果が突破につながった」と、素直に喜びを口にした。
敵陣エリア内でPK獲得 「倒されたときには自分で蹴ろうと思っていた」
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後半28分には、ペナルティーエリア内で倒されてPKのチャンスを得た。「倒されたときには自分で蹴ろうと思っていた」とキッカーを志願。MF金子拓郎(25)からボールを手渡されると、場内に大きな歓声が響いた。「(歓声は)集中していて全然聞こえなかった。さっき映像を見せてもらって、『あー、そうだったんだ』って。僕のゴールを期待してくれていたのかなと思うと、ありがたい気持ちでいっぱいです」。サポーターの思いも乗せて右足から放たれたシュートは、見事にゴール左下へと突き刺さった。
4年前の決勝はPK戦でキッカーも 試合中のPKはプロ入り後初
2019年、ルヴァン杯決勝戦のPK戦では、チーム3人目のキッカーとして見事に成功させた深井だが、試合中のPKキッカーを務めるのはプロ入り後初だ。「基本的には前線の選手に(得点を)取らせてあげたいという気持ちもありますが、今日に関しては、たまたま僕がPKを取って、自信もあったので」。普段は自分からキッカーを志願することがないという深井が、強い意志を持って名乗り出て、決めきった。プロでの公式戦通算13得点目となった一発には、いつもとはまた違った味わいの、記憶に残るゴールとなるはずだ。
届かなかった優勝杯への思い強く 「決勝の舞台に、また行きたい」
「決勝の舞台に、また行きたいと思っています。僕たちには、一度あの(決勝戦の)経験があるので、次はもっと違うふうになるという自信もあります。ここから一試合一試合、勝ち上がっていくのは非常に難しいですけど、チーム一丸となって、全員で戦っていけば、すごくチャンスはあると思います。みんなで優勝して、喜びを分かち合えるよう一戦一戦、戦っていきたい」。深井が視野に入れるのは、19年以来となる決勝戦、そしてあのときには届かなかった優勝カップだ。まずは、そのビッグトーナメントに参加する〝チケット〟は手に入れた。9月の準々決勝から、札幌の歴史を変える戦いが再び始まる。
◆ルヴァン杯 3勝1分2敗の勝ち点10でAグループ2位となったが、全5グループの2位チームの中で、プライムステージ進出可能な成績上位3チームに入ったため、札幌の2年ぶりの8強入りが決まった。準々決勝は9月6日、10日にホーム&アウェイ方式で実施。組み合わせ抽選は7月3日に行われる。