道産子左腕ルーキー・楠茂(旭大高出身) 名門・ENEOSでレベルアップ「都市対抗を経験したい」
■JABA北海道大会 ENEOS18―1日本製鉄室蘭シャークス ※七回コールド(19日、岩見沢市営球場)
シャークス戦に先発し3回4安打1失点
道産子の〝フレッシャーズ左腕〟が中央球界で実力を磨いている。昨年の都市対抗王者のENEOSが日本製鉄室蘭シャークスを圧倒した。先発した1年目の楠茂将太投手(22、旭川大高―国学院大)は3回4安打1失点と役割を果たした。7月14日に開幕する都市対抗野球大会に向け「それまでにレベルアップして都市対抗で活躍したい」と力を込めた。ENEOS(横浜市)は同日の1回戦でバイタルネット(新潟市)と対戦する。
地元・北海道〝凱旋〟登板
大久保秀昭監督(53)の計らいもあり北海道〝凱旋〟のマウンドは大学3年時以来の先発登板となった。二回には味方の7得点の猛攻が逆にリズムを狂わせた。先頭に四球を与えると1死二塁から適時打を浴びた。「投げるまでに結構間があって、投げない中での準備が難しかった」と唇をかんだ。
それでも投球を立て直し、キレのある直球を中心にスライダー、カットボール、チェンジアップを織り交ぜながら3回1失点。「ストライクゾーンとの戦いをちょっとしてしまった。平常心じゃなかった部分が多少あった」と振り返ったが、大久保監督は「ベストピッチかと言うとまだまだってところはありますけど、少しずつ彼の良さも出始めている。本大会でも戦力になれるようにやってほしい」と一定の評価を与えた。
元メジャー田澤純一から助言受け
大学4年時はリリーフ投手として活躍したが、球種の豊富さもありこの試合は先発として起用。楠茂自身も「先発はチームの責任を背負う。どこでも投げられるようにしたい」と前向きだ。リリーフにおいても、チームには元メジャーリーガーの田澤純一投手(37)という最高のお手本がいる。田澤からはブルペンでの作り方の助言を受けたそう。大学時代までは登板までに30球以上要していたが、現在は「20球以内ですぐ行ける」と胸を張る。
日本一チームで意識から改革「一つになる力がすごい」
また、名門・ENEOSでの生活は自然とレベルを高めてくれる。今大会中も皆が共通意識を持っており、試合に集中するために大会期間中の外食などは自粛。「一つになる力がすごい」と日本一のチームたる所以を肌で感じている。「こういうレベルの高いところでやるのはすごい楽しい。自分ももう一段階レベルアップできる」と目を輝かせた。
大久保監督「自分の価値を出せる選手になってほしい」
レベルの高い投手陣に割って入るのは容易なことではない。指揮官も「彼よりも上のピッチャーもいる」と現状を説明しながら「チャンスをしっかりモノにしながら、自分の価値を出せる選手になってほしい」と期待を寄せた。楠茂が目指しているのはもちろん東京ドームのマウンド。「都市対抗を経験したい。その中で自分を高める」。残り1カ月、自らの投球で序列を塗り替える。
18年夏の甲子園出場、国学院大4年秋に最優秀投手賞
■プロフィール 楠茂 将太(くすも・しょうた)2000年8月17日、旭川市生まれ。旭川大高では18年夏の甲子園に出場した。国学院大に進学し、4年の秋季リーグ戦で最優秀投手賞を獲得。明治神宮大会では準優勝に貢献した。最速146キロ。持ち球はスライダー、カーブ、チェンジアップ。176センチ、74キロ。家族は両親と姉、弟。