《鶴岡慎也のツルのひと声》松本剛と野村が交流戦明けのキーマンに
借金を抱えている状況ではあるが 投手陣の充実で良い戦いができている
日本ハムはシーズンの節目である交流戦を終えて10勝8敗。借金を抱えている状況で〝健闘〟の2文字を使いたくはないが、昨季までの主力であった近藤(現ソフトバンク)が抜けたことを考えれば、良い戦いができていると言えるだろう。
その要因は投手陣の充実にある。先発陣が安定し、後ろの形が固まれば自然とチームの勝ち星は増える。何よりも大きいのは、宮西と田中正が勝ちパターンに収まったことだ。開幕前は中継ぎ陣がチームのアキレス腱、ウイークポイントとされていた。まだ上位を狙える現時点で勝利の方程式が固まった。勝ちへの逆算ができる状況は、昨季まではなかったポジティブな要素だ。
勝ちパターンに収まった宮西 直球は入団以来ベストといえるほど良い
宮西の直球の質は、入団以来ベストといえるほど良く見える。肘の不安を抱えていれば、あれほど腕を強く振ることはできない。昨季のシーズン中に意を決して手術に踏み切ったことが、素晴らしい決断となった。
38歳のベテラン。この年齢での手術は現役を辞める、辞めないに直結する。受け入れた球団も素晴らしい判断だった。実績ある投手が状態を落とせば、腫れ物に触れるような扱いづらい存在にもなり得る。そんなリスクを本人も感じながら自力でポジションを取り戻した。今季に懸ける思いを本人からも聞いていたが、覚悟を持った人間はすごい力を発揮するのだと感服した。玉井ら年下の投手たちも感化されていることだろう。
万波は3割、30本、100打点を堂々と公言できるレベルを目指してもらいたい
一方の打線は万波の成長が著しい。今春のキャンプで見たときから、打つ形が格段に良くなった印象を受けていた。昨オフ、一大決心をして、単身でアメリカ武者修行へ。打撃を解析し、根本から技術を見つめ直したと聞く。もともと飛ばす能力はあったが、今では余すことなく体を操る力が備わった。打力の向上は開幕直後から結果に表れ、首脳陣の信頼を勝ち取った。現状に満足することなく3割、30本、100打点を堂々と公言できるレベルを目指してもらいたい。