二刀流・上原 好投&好打の裏に〝秘密兵器〟あり
■交流戦3回戦 日本ハム4-3DeNA(6月19日、横浜スタジアム)
勝利は付かずも 5回⅓を1失点に抑えて流れつくった
日本ハムの上原健太投手(29)が19日、DeNA戦に先発し、5回⅓を1失点に抑えて勝利に貢献した。一回2死から3連打で満塁のピンチを背負うも、無失点で切り抜けリズムに乗った。二回から五回までは圧巻の無安打投球を披露。六回1死から佐野に二塁打を浴びたところで降板となり「六回は投げきりたかったですね」と悔しがったが、「すごく打つ打線なので、一人一人、どうやってこのバッターを抑えるかずっと考えていて、気付いたら五回だったので。自分が何回投げているのかも分からなかった。初回にずるずる2点でも入っていたら違う展開になっていたので、そこを凌げたのは良かったです」と一定の手応えも感じていた。
五回は2度のバント失敗も今季初安打
二刀流左腕は、打でも魅せた。1点リードの五回無死一、二塁の場面で二度、犠打がファウルになり追い込まれたが、カウント1ー2からの4球目をバスターでミート。打球は左前で弾み、今季初安打をマークした。しかし、直後に清宮の二直で一塁を飛び出して併殺を食らい「飛び出しで、全部台無しです。ヒットもバント2回失敗のあとなので、結果論。バッターもやっているからこそ、そういうミスはやっちゃいけない。それがなければ点が入って、もうちょっとイニングを投げられたかもしれないし、もうちょっと楽な展開で投げられたかもしれない」と反省しきりだった。
昨春から愛用するマウスピースのおかげで けがなくローテ定着へ
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今季はここまで1勝3敗、防御率3・82。勝ち星には恵まれていないが、すでに7試合に先発し、1軍のローテーションに定着しつつある。過去には首痛などのけがに悩まされた時期も長くあったが、昨年からは徐々に解消され、常に良い状態でマウンドに上がれるようになった。上原の活躍を支えているのは、昨春のキャンプ頃から愛用しているマウスピースの存在だ。
「6万円くらいはしますけど、それで年俸が上がるなら安い」
「きょうも、もちろんつけていました。スポーツに詳しい歯医者に行って、作ってもらった。僕はこれで、けがをしなくなったんです。今はもう、マウスピースをしないで投げたら速攻でけがをすると思う。最初は歯の矯正をしたかったんですけど、時間がかかるのとリスクが大きかったので止めて、マウスピースにしました。噛んだときの力の入る部分を変えることで体の負担が減る。練習でも投げるときはしている。寝るときもしているし、どこにでも持っていきます。6万円くらいはしますけど、それで年俸が上がるなら安い」
投打で別もの着用 「打つときには左側の歯だけ。意識を後ろに置きたいので」
今はマウンドと打席で、2種類を使い分けているという。「結構、こだわっていますね。ピッチング用は奥歯で噛めるように、奥歯に自然に力が入るように、奥歯の方を高くしています。右左どっちの奥歯に力が入ったら、自分の動きがどうなるのか、自分の感覚と相談しながら、ちょっと厚さを変えたり、微調整しています。奥歯で噛むことで、全体的に力が入って、バランス良く力を入れられる。体にかかる負担もだいぶ変わってきました。打つときには、左側の歯だけのやつを使っています。打席に立ったときに、意識を後ろに置きたいので。右の奥歯の方にマウスピースの感触があると、どうしても意識が前に行っちゃう。(投手方向に)突っ込んでしまうので、それを抑えるために」。今年で29歳を迎えた。結果を残すため、使えるものは何でも使う。マウスピースと出会い、野球人生が間違いなく好転し始めている。