ファイターズ
《岩本勉のガン流F論》2戦連発の野村 正真正銘「4番打者の打球」
■日本ハム5-7西武(20日、メットライフドーム)
野村の完璧な一撃に来季の4番像を見た気がした。4点差を追う五回。2死から1、2番の連打で迎えた第3打席。迷いはなかった。
初球に対して今現在、自分自身ができる最高のスイングを見せた。ヘッドがよく走り、投球を捉えた。こねたり、無駄なパワーが少しでも伝われば打球にドライブがかかり、いい当たりのファウルに終わる。しかし、鋭く走ったヘッドは素直に打球を上げ、スタンドイン。正真正銘の「4番打者の打球」だった。
4番=主砲とは起死回生の打撃を、ここぞの場面で一振りで決められる選手に与えられる称号だ。結果的には追いつけず敗戦となったが、劣勢から「よ~し、いけるぞ!」とチーム全体、そしてファンに勇気を与えられる選手こそ、主砲だと感じる。
期待大で迎えた今季は試行錯誤、紆余(うよ)曲折があった。また夏場から秋口にかけてはクルクルとバットが回った。相手から主力として研究し尽くされた証拠でもあるが、ここ2試合連続の一発に野村の今季の答えが凝縮されている。
打順は僕やファンが決めることではないが、今年最後のメットライフドームに架けたアーチは、野村自身が希望という名の鮮やかな色で、描き出していた。(本紙評論家)