元F戦士の足寄・池田剛基監督が夏の甲子園ロード道内一番星 「町全体を巻き込んで旋風を巻き起こせたら」
■全国高校野球選手権北北海道大会十勝支部予選(24日、帯広の森野球場)
▽Bブロック1回戦 足寄4-2帯広柏葉
全国高校野球選手権南北北海道大会の支部予選が6月24日に開幕。4支部6試合が行われた。十勝支部1回戦は、2002年に鵡川で選抜甲子園に出場した元日本ハムの池田剛基監督(38)が指揮を執る足寄が、4-2で帯広柏葉に勝利。この夏の白星道内一番乗りを果たした。
2020年春、監督就任
足寄がこの夏の〝一番星〟を挙げた。指揮官が2020年春に監督に就任してから、同年夏の独自大会を含めて10大会中、シード入りを除く7大会で5度目の開幕試合。「毎回、開幕戦にあたるので、おそらく野球の神様からは開幕ゲームで清々しい高校生らしい野球を披露しなさいと、そんな命を受けてるのかなと勝手に感じています。選手たちには自分が打ったとか試合に勝ったとか負けたとかを超えて、お客さんも多分一番来てくれる試合だと思うので、野球を見に来てくれくれた人たちに楽しんでもらえるような、そんな試合をしようということは話をしました」。両校とも全校応援の中、立派に戦い抜いたナインをねぎらった。
本別中で全道準V経験、佐川が決勝三塁打
試合は三回までに2点ずつを奪う展開。五回に流れを変えたのが、3番の佐川巧真一塁手(3年)だ。第1打席、第2打席と単打で好機を演出。同点で迎えた無死一塁の場面で、1-1から高めの直球をフルスイングし、打球は右翼手の頭上を越える決勝三塁打。「流れが悪い中で打席に立って先頭が出てゴロ打ちにいった結果が、うまく球にスピンかかって飛んでくれたのかな。変化球は捨ててました」と勝利に貢献した。
「監督の存在大きい」と足寄に進学
佐川は本別中2年秋に投手として全道大会準優勝を経験。「(翌年)秋の大会で足寄が帯広三条さんに勝って、その試合の後に練習を見に行かしていただいた。その時にすごくいい雰囲気で練習されてたので、ここなら自分は3年間で一番成長できるなと思った。監督の存在も大きいです」と、池田監督が指導する足寄へ進んだ。
さらに現2年生は佐川の本別中時代の後輩や足寄中から大量16人が入部。帯広柏葉戦はスタメン9人中6人が2年生だ。足寄中までは主に捕手で、池田監督に勧められ高校から本格的に投手に挑戦しているエース・青木佑介投手(2年)は「入ってみて、こんないっぱいいて驚きました」と当時を振り返る。佐川も「頼もしいです。彼らがいなかったらここまでのチームにはなってないので、感謝ですね」と褒め称える。
日本ハム移転後初の道産子指名選手
池田監督は札幌出身。鵡川高3年の02年選抜甲子園に21世紀枠で出場。同年のドラフトで日本ハムの北海道移転決定後初の道産子指名として話題を呼んだ。05年に現役引退後は同球団のベースボールアカデミーで子供たちの指導に当たってきた。
監督就任後2度、代表決定戦まで進出
足寄は11年秋を最後に部員不足で連合チームで出場、14年春から17年春までは大会出場も見合わせ休眠状態だった。18年に日本ハムが道内のスポーツ振興などのため市町村に人材を派遣する事業の一環として池田氏を外部指導員として派遣。コーチを経て、監督就任初年度の20年夏、20年ぶりに代表決定戦へ進出。同年秋も代表決定戦に進出するなど着実に成果は実を結びつつある。
現3年生は監督就任の翌年に入学してきた世代。部員の中には小学校時代に指導したことのある選手もいるそう。「足寄の取り組みを知って、まだ勝ったこともないチームに飛び込んできてくれた選手。そういう子たちが最後に華々しくいい結果を残してくれるのは、私にとっても嬉しいです」と目を細めた。
「郡部の力もどうにか絶やさないように守り抜いていきたい」
部の目標はまだ3季通じて出場したことのない全道大会。「郡部の力も、どうにか絶やさないように守り抜いていきたいと強く思ってます。少し都会から離れたところですけど、その強い思いと一生懸命さがあればどうにかなるんだってところは、私も高校時代に鵡川で経験しました。町全体を巻き込んでスポーツっていいよねっていう流れを旋風を巻き起こせたらいいな」。目標まであと2勝。旭川行きの切符をつかんでみせる。