強心臓の道産子左腕・福田俊 1球で火消し「使う側の評価が上がるチャンス」
■パ・リーグ11回戦 日本ハム5-6ロッテ(6月25日、ZOZOマリンスタジアム)
1点追う五回2死三塁のピンチで登板 この日2安打のロッテ・福田をレフトフライ
道産子左腕が、また1つ信頼を積み上げた。日本ハムの福田俊投手(26)が25日、ZOZOマリンスタジアムで行われたロッテ戦に2番手で登板。1点ビハインドの五回。2死三塁のピンチでマウンドへ上がり、福田秀平外野手(34)を左飛に打ち取った。タフな場面を乗り切り、3試合連続で無失点投球を継続。投げるたびに存在感を高めている。
勝負の行方を左右しかねない局面。この日2安打を放っている好打者に対して「後手に回らないように。先に攻めた結果、打たれたら仕方ない」と、覚悟を決めて勝負を挑んだ。選んだのは直球。渾身の145キロで差し込み、たった1球で火消しをやり遂げた。
「今年は真っすぐが良い。ピンチでも自分の投球ができる」
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昨季からの進化を自覚している。福田俊は「今年は真っすぐが良い。それを継続して投げられているから、ピンチの場面でも自分の投球ができる」と手応えを口にする。オフシーズンから始めた取り組みが、ストレートの威力アップにつながった。
左腕は「小さめのドッジボール」と表現する球体を、遠征先にも持ち歩く。トレーニング用のボールを親指や人差し指だけで投げる動作を繰り返し、指先の感覚を磨いてきた。「壁にポンポン当てるので結構うるさいんですよ。さすがにホテルの部屋でやるのはヤバイので、ウエート場とかで、できるときにやっています」と笑う。好投の陰には、地味で単調な反復がある。
六回に逆転していれば1球で初勝利のチャンスもあった 「地道に抑えていくことですね」
マウンドを降りた直後の六回には、味方打線が奮起。上川畑の適時打で同点に追い付いた。逆転に成功すれば、NPB史上9人目となる1球でプロ初勝利を挙げるチャンスだった。「(ソフトバンクの)大津が、この間の交流戦でやってましたよね。僕はまだ勝ったことがないので『勝ちたいな~』って思いますけど、そこは他力本願。地道に抑えていくことですね」と初白星への色気を抑え、足元を見つめ直した。
強靱なメンタルも魅力の1つだ。今季初登板となった11日・阪神戦は2死満塁の極限状態でマウンドに立ち、無失点で乗り切った。この日も、持ち前の馬力で難局を乗り越え「使う側の評価が上がるチャンス。良いところで抑えれば自信にもなる」と爽やかに汗を拭った。強心臓の5年目左腕は、厳しいシーンでより輝く。