夏季スポーツ
2023/06/25 21:00

3人制バスケの岩見沢FUがレッドブルハーフコート北海道予選初王者 元レラカムイの菅原が躍動

「Red Bull Half Court」の北海道予選で優勝した岩見沢FU。右から田尻、田口、菅原、木村(撮影・西川薫)

■3人制バスケットボール「Red Bull Half Court」北海道予選(6月25日、北海道教育大岩見沢校)
▽決勝 岩見沢FU21-14ZONE

5戦全勝で決勝ラウンド進出

 9月にセルビアで開催される3人制バスケットボールの世界大会「Red Bull Half Court」の北海道予選が6月25日、北海道教育大岩見沢校で初めて行われた。10チームが出場し、元レラカムイ北海道でプレーした道産子の菅原洋介(39)らが所属する岩見沢FUが決勝を含む5戦全勝で初代王者に輝いた。8月13日に福岡で行われる決勝ラウンドに進出する。

圧倒的攻撃力、決勝もコールドゲーム

 ビートの利いた音楽に会場MC。ストリート発祥の3人制のプレーに会場が沸いた。予選4試合で計86点と圧倒的な破壊力を誇る岩見沢FUが、決勝でも21点を奪ってコールドゲーム。共同代表兼選手の田尻洋輔(35)は「北海道初開催、そして岩見沢でできたっていうこともありがたいと思いますし、その大会で記念すべき初優勝を僕らができたっていうのは本当にありがたい」と喜びを爆発させた。

大病を乗り越えた菅原「満点をつけたい」

 病魔を乗り越えた菅原が3人制で躍動した。今大会は予選4試合が8分、決勝は10分の合計42分。菅原は「自分も体力衰えてて。その前にちょっと自分も体調崩して、そこからのカンバックっていうので満点をつけたいです」と流れる汗をぬぐった。07年にレラカムイ北海道の初代メンバーとして1シーズンプレー。その後はbjリーグや米国・独立リーグ、Bリーグでプレーした後、19年に現役引退。3人制では15年にグリーディードッグドットエグゼのメンバーとして国内トップリーグ優勝。世界大会でも準優勝を経験した。

3月に抗がん剤治療を終えたばかり

 21年秋に家族が住む北海道に戻った頃、体に異変が起こった。「虫垂からがんになって大腸、小腸、リンパ節を切って」。大手術を行い半年近く入院。23年3月に抗がん剤治療をようやく終えたばかりだ。病気のことは近い人にしか伝えておらず、周囲からは「菅原落ちたな、みたいな。もう散々言われてたんで。逆にバネにして」。逆境を経験してきただけに、喜びもひとしおだ。

総合型地域スポーツクラブとして活動

 チームは21年に北海道教育大岩見沢校と連携して総合型地域スポーツクラブとして発足。ボールゲーム指導理論の「バルシューレというものを取り入れて、子供たちの運動を教えている」と田尻代表。この日もクラブに通う大勢の子供たちが応援に駆けつけた。22年から3人制のプロリーグ「3X3.EXE PREMIER」に参戦中で、9月に札幌で初のリーグ戦開催を誘致した。21年の東京五輪に男子代表として出場した選手も参戦する予定だ。「もっといろんな人に見てもらえるような形にできれば」と、これからも活動を通じて地域に貢献していく。

高校、大学、Bリーグで活躍したメンバー

 菅原の他にもメンバーは強力だ。司令塔の田尻は北海学園大出身。相手の心を折るかのように何度も2点シュートを決めた田口凜(28)は17年にアルビレックス新潟に特別指定で入団したシューター。ゴール下で果敢にボールにアタックした195センチの木村優斗(25)は東海大札幌高時代にインターハイ16強のメンバー。田尻代表を除く3人は、江別の5人制の道内強豪社会人チームのボアーズでもプレーする。

左から田尻・田口・木村

岩見沢から世界を目指す

 世界大会は17年にスタート。国内大会は21年から始まり、23年は規模を拡大し岩見沢を含む国内8カ所での開催となった。世界大会の切符をかけた決戦の舞台は福岡。菅原は「全国からすればちょっと小さいし、経験値っていう部分では下がる部分がある。自分はベテランですし、どれだけ若い選手を使いながら、外国人選手を攻略していくかってところがキーになってくると思う。それが子供たちに日本人でも外国人選手に勝てるとか、そういう風に頭使ってやれば必ずプレーで示せることを自分たちが体現していければ」。岩見沢から、世界へ。菅原がチームに翼を授ける。


◆田口凜
「福岡でしっかり勝ち切り上位に食い込めるように優勝できるようにってやってたので、まずひとつホッとしてるというか勝てて良かった。シュートタッチは余り良くなかった。決められるシュートを落としていた。福岡では経験のある格上のチームが多いので、そこにしっかりベストな状態で挑んでいければ」

◆木村優斗
「今日1日をやりきったなっていう思い。今のメンバーだと一番若いので、そこで自分がまた1個成長できたら選択肢広がるんだろうなと思って毎日やらせてもらってます。福岡でいい経験いい結果を残して、その先を見据えてやっていければ」

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