《岩本勉のガン流F論》見事だった上原のピッチング ただ、意地をもってもらわなアカンで!
■パ・リーグ11回戦 日本ハム0-2西武(6月28日、沖縄セルラースタジアム那覇)
今までで一番の出来 2つの〝決断球〟が奏功
これぞ、正真正銘のハイクオリティースタート(7回以上を自責点2以内)。上原が抜群のピッチングを披露した。私が見る限り、今までで一番の出来。これまでの苦労は無駄ではなかった。すべては必要な時間だったと感じさせてくれる投球だった。一言で表現するなら、成長。実に見事だった。
右打者へのチェンジアップ。左打者へはフォーク。この2つの〝決断球〟があったからこそ、逆算し、投球を組み立てることができた。
八回のマウンドには上がれなかった 上沢や加藤貴ならば…
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ただ、八回のマウンドに上原の姿はなかった。この現実を受け止めてもらいたい。上沢や加藤貴だったら、どうだろう。続投していたはずだ。今の上原は「八回の登板も見たかった」、「七回、うまく投げられたね」といった段階にある。上沢や加藤貴のように「当然ながら、八回も頼むぞ」という投手には、まだなってはいない。
黙っていても八回、その先の九回を任せられる。「この試合、おまえが白黒つけてこい」と託されるピッチャーこそが次の段階だ。現状、一人前の投手になる直前、最後の段階に身を置いている。この、あと一歩が難しいのだが…。
驚いた試合後のコメント 欲を出してくれなきゃ困るで!
そのためには何が必要か。本人が試合後に発したコメントの中にヒントが隠されているように思う。「試合をつくることができて良かった」といったニュアンスの言葉を伝え聞いた。正直、驚いた。文脈からは安堵感が感じられる。どうか、本心であってくれるなと願う。
意地を持ってもらわなアカンで!欲を出してくれなきゃ困るで!試合を任せられる投手。責任を背負うピッチャーになってもらいたい存在だからこそ言わせてもらった。次回の登板が楽しみだ。
ファイターズらしさ欠いた打線 三回無死一、三塁での無策が響いた
打線は無得点。ファイターズらしさを感じられなかった。三回の攻撃が顕著だった。無死一、三塁で無策。序盤だからなのか、好調の江越、石井と続く打順だからなのか。独特の〝いやらしさ〟がなりを潜めていた。