《鶴岡慎也のツルのひと声》相手が山本だからこそ、重要視される不用意な1球
■パ・リーグ9回戦 オリックス1ー5日本ハム(6月30日、エスコンフィールド北海道)
2ボールから取りにいった見逃しストライク
不用意に映った1球が悔やまれる。三回、加藤貴は先頭のゴンザレスに二塁打され、犠打で1死三塁。続く広岡を三ゴロに打ち取ったが、中川圭に左前打され、先制点を奪われた。
何が不用意だったのか。中川圭に対し、2ボールからスライダーでストライクを取りにいった。そのボールが甘くなり、痛打された。打率2割台前半の中川圭ではあるが、良いバッターに変わりない。しかも積極的に振ってくる打者だ。加藤貴は漠然と、伏見は配慮不足の中、簡単に見逃しでストライクを取ろうとしたように見えた。
相手が山本だったからこそ、必要だった細心の注意
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大前提として言えるのは、相手先発が山本だったということ。言わずと知れた球界を代表する投手。スーパーピッチャーを相手にする場合、配球ミスは許されない。たった1球が敗戦に結びつく。先制点を防ぐのが鉄則だ。ランナーなしならまだしも、何度も言うが、不用意だった。
その後の2ランやタイムリーに関しては、選んだボールに間違いはなかったように思う。投げ損じは誰にでもある。ただ、先制点は細心の注意で防ぐことができた。
一球の重みを再認識したであろうバッテリー
一線級の投手に勝つためにはまず点を先に与えないこと。これから上位を狙っていこうとしている日本ハム。バッテリーは肝に銘じてもらいたい。加藤貴と伏見のバッテリーはあらためて一球の重みを感じたはずだ。相手が山本だったことで、より先制点につながったボールが重要視された。
確かな打撃技術を備える郡司 守備が見たい
一方、新戦力2人がキラリと光った。郡司が第1打席で中前打。山本のストレートを一発で捉えた。決して、たまたまではない。2打席目以降も凡退はしたものの、しっかりとしたスイング軌道を披露していた。技術が備わっている証拠だ。
十分に1軍で戦力となっていける。あとは捕手としての守備。キャッチングが確かなのは承知している。スローイングやリード面を見てみたい。
武田久、谷元を彷彿とさせる山本拓の直球
そして3番手で登板した山本拓。ストレートは球速も出ているし、力強い。軌道も独特で、浮き上がるようなボールは武田久さんや谷元(中日)を彷彿(ほうふつ)とさせる。ただ、変化球が緩む(直球に比べて腕の振りが弱くなる)ことがある。それも伸びしろと捉えたい。
まだ完成されていない投手ではあるが、安定感のあるブルペン陣に割って入るだけの力は持っている。