札幌DF岡村 イニエスタに惜別の勝利与えず「感謝はしてるけど勝って終わりたかった」敵地・神戸で1-1ドロー
■J1第19節 神戸1-1札幌(7月1日、兵庫・ノエビアスタジアム神戸)
北海道コンサドーレ札幌は首位を争う神戸に、しかも退団するMFアンドレス・イニエスタ(39)の最後の試合となるビッグマッチで堂々と渡り合い、価値ある勝ち点1をつかみ取った。
「もうひと踏ん張りして勝ち点3を持ち帰りたかった」
90分間、札幌の守備を統率し続けたDF岡村大八(26)は、引き分けという結果について「正直、納得はいっていない。80分過ぎまで1-0で勝っていた中で、もうひと踏ん張りして勝ち点3を持ち帰りたかったというのが率直な僕の意見」と悔しがった。イニエスタの神戸ラストゲームで世界的にも注目を集めたことで、内容的に勝っていた札幌のサッカーは間違いなく多くのサッカーファンに対して大きなインパクトを残したはずだ。
シュートは神戸の倍の20本
J1最多40得点を誇る自慢の攻撃力はこの日も健在。放ったシュート数は神戸の倍となる20本。ペナルティーエリア内でのハンドについての不可解な判定や、岡村の決定的なヘディングシュートがクロスバーに阻まれるという不運もあり、1得点にとどまりはしたものの、〝攻撃の札幌〟らしい場面を何度もつくり出した。
GK菅野のビッグセーブや岡村、金子の体を張ったブロックで最少失点
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
そしてこの試合で攻撃以上に光を放っていたのは、岡村を含むチーム全員が見せた守備だ。前半18分には右サイドから裏に抜け出した相手FWジェアンパトリッキ(26)が放ったシュートを、GK菅野孝憲(39)が右手1本でビッグセーブ。後半6分には決定的な枠内シュートを2本立て続けに撃たれるが、MF金子拓郎(25)、そして岡村が体を張ってブロックし失点を防いだ。
セットプレーから悔しい失点は許してしまったものの、課題のある守備面で奮闘を見せた。「どの試合も安い失点が多くてはいけないので、これぐらいをアベレージにしなきゃいけない。Jリーグの中でも攻撃的な神戸を、最小失点で抑えたというところでは良かった。セットプレーでの失点ではあったけど、流れの中で崩されなかったというのは良かったんじゃないかと思います。DFラインやGKだけじゃなく、ボランチであったり、前の3枚も。選手それぞれみんなが走った結果、こういった試合ができたかな」。攻守両面で札幌に漂う上昇ムードを追い風に、後半戦も戦い抜くつもりだ。
憧れのイニエスタが最後に同じピッチ「光栄なこと」
岡村にとってもイニエスタは憧れの存在だった。小中学生時代には、FCバルセロナの選手としてプレーする姿をよく見ていたという。「最後の試合に僕が同じピッチに立っていたということは、すごく光栄なことですし、ありがたいです」とリスペクトを口にする一方、「日本のサッカーを盛り上げてくれて感謝はしていますけれど、やっぱり札幌のサッカー選手としては、勝って終わりたかったなというところがあります」と、いちプロ選手としての悔しさも見せていた。世界的な選手との対戦で得た経験を糧に、さらなる高みを目指していく。
20年からの連敗ストップ
勝利こそつかめなかったものの、イニエスタを勝利で送り出そうとしていた神戸側の思惑を阻止し、2020年からリーグ戦で7連敗を喫していた相性の悪い相手から敵地でつかみ取った貴重な勝ち点1。この1ポイントの価値を高めるためにも、アウェー連戦となる福岡戦(8日、ベススタ)では、リーグ戦4試合ぶりの勝利をもぎ取ってみせる。