絶望にあった浅間 救われたドリカムの名曲 苦境乗り越え2日のオリックス戦で決勝打
絶好調にあった中での負傷 まさに天国から地獄
あの日、浅間は絶望の淵に沈んでいた。2月26日。春季キャンプ最後の実戦だった阪神とのオープン戦で、左足のくるぶしを骨折した。
「あそこで、ああいうけがをしてしまうのは自分が悪いですけど、ヘコみ過ぎました。その日の夜はもうヤバかったですね。僕のゆがふいん(キャンプ宿舎)の部屋の中、ため息が充満していました(笑)。マジで。さすがに物には当たらなかったですけど、無になるか、思い返してため息をつくか。しかも痛かったので、部屋の中で大変でした」
引きずる足で荷作り 「それが一番しんどかったかも」
「ちょうどキャンプ終わりで荷物出しがあったので。僕はこまめにやるタイプじゃなくて、きょう試合が終わったらやろうと思っていたんですよ。だからあんまり片付けていなかった。それが大変でしたね。かといって人にやってもらうのも嫌なタイプなので、片足でケンケンしながら荷物をまとめて、それが一番しんどかったかもしれないです。もう手術って分かっていたので、いろいろ考えながら荷物まとめて、あーってなっていた」
励ましの声も届かないほどのどん底
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多くのチームメートやスタッフから、励ましの声をもらった。しかし、負傷直後は全く耳に入らなかった。「みんな温かい声をかけてくれていましたけど、そういう言葉も正直、右から左に流れていってました」。横浜高の先輩でもある近藤から背番号8を受け継ぎ、並々ならぬ覚悟で迎えた2023年。開幕に間に合わないことが確実になり、気持ちはどん底まで落ちた。
音楽にすがり、胸に響いたドリカムの歌詞
何かで紛らわさなければ、心がもたない。浅間が頼ったのは音楽だった。「とりあえず前向きな歌を聴いていました。めちゃくちゃいろいろ聴きました。そうでもしていないと、メンタルが保てなかった。やっぱり一番響いたのは、ドリカムの『何度でも』です。あれは響く。すごいです」
過去、何度も何度もけがに泣かされてきた。特に胸に響いたのは、「10000回だめで へとへとになっても 10001回目は 何か 変わるかもしれない」というサビの歌詞。「その精神でしかない。本当に僕にはピッタリなのかなと思う。何回もけがして、うまくいかない感じのことばっかりですけど、前を向いていくしかない」と、沈みきった気持ちをもう一度奮い立たせた。
何度でも立ち上がる背番号8 華麗に再スタート
「沖縄から東京に帰ってきて、手術する前日くらいには、なったものはしょうがないな、悩んでも変わるもんでもねーしなって、手術をして、麻酔から覚めた時にはそんなことを考えていました」。今、エスコンフィールドで輝く浅間がいるのは、くじけずに10001回目を信じ続けてきたからだ。
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