旭川志峯 新校名で初の支部代表 切り込み隊長・高本〝ハルク〟が3安打3打点の大暴れ!【北大会旭川代決】
■全国高校野球選手権北北海道大会旭川支部(7月2日、旭川スタルヒン)
▽Dブロック決勝 旭川志峯14―3旭川工業
学校としては7大会連続26度目の北大会出場
〝ハルク〟のパワーがさく裂した。旭川志峯が旭川工業に大勝し、7大会連続26度目、新校名となっては初の北大会進出を決めた。序盤はリードを許した展開になったものの、1点を追う四回、1番の高本悠空遊撃手(はるく、3年)の2点三塁打で逆転に成功。エースの伊知地晴投手(3年)は一回に3失点を喫したが、尻上がりに良くなる投球で13三振を奪い、9回を投げ切った。札幌支部では昨夏の南大会を制した札幌大谷が札幌南に敗れる波乱が起こったが、北大会の昨年王者は順当に駒を進めた。
1番・高本悠空(はるく)が一回に先頭打者弾 四回に逆転三塁打
幕開けも高本の快音だった。1ストライクからの内角のスライダーをすくい上げた。打球はそのまま右翼席に着弾。自身公式戦初アーチとなる先頭打者弾で勢いづくと、最大の見せ場は2-3の四回にやってきた。2死一、二塁から内角直球を振り抜くと、甲高い打球音を残した白球は右中間を破り、2者が生還。高本も悠々と三塁を陥れ、ベース上で笑顔を見せた。「打ってやろうという気持ちよりも、自分のスイングをする気持ちで打席に立ちました」と力むことなく、平常心で結果を残した。
一回に先頭打者弾を放ち、ダイヤモンドを一周する旭川志峯の高本
初戦はバットを忘れ、失策も
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今大会は最悪のスタートだった。初戦となった6月30日旭川東戦では、いつも使用しているバットを忘れたという。道具係に任せていたが、自らも確認することを怠った。同じ84センチのバットを使用したが、重さなどのバランスが異なり、勝手が違ったことで野球のリズムは崩れた。一回に先頭打者で三振を喫すると、その裏には2死から失策を犯した。
見かねた山本博幸監督(43)は試合後に話し合う場を設け「バッティングのことは考えなくていいから、ピンチで守ってくれ」と声を掛けた。この日は汚名返上の活躍を見せ、指揮官も「結果を出してくれたから良かった」と安堵の表情を見せた。
名前の由来はマーベルではなく、キムタクから
名前は「悠空(はるく)」。マーベルコミックスのパワーあふれるキャラクターと同じ呼び名だが、由来は違った。木村拓哉ファンの両親が、2004年に放送されたフジテレビ系列のドラマ「プライド」で木村拓哉の演じた「里中ハル」の名前から拝借。マーベルの「ハルク」から取ったと勘違いされることも多く、友人などに聞かれるたびに「実は違うよ」と苦笑いしながら説明しているという。それでも2本の長打を含む3安打3打点を生み出したパワーは「ハルク」そのものだ。高本も「自分はホームランだったり、持ち味は長打を打てるところ」と鼻息は荒い。
学校の伝統を引き継ぎ 新校名でもやることは変わらない
新校名を背負っての北大会。「やることは変わらないと思うので、今までの先輩方が築いてきた伝統をしっかり引き継いでいけたら」と高本。山本監督も「(前監督の)端場先生がつくってきた土台があるから、自分は関係ないかな」と謙遜した。胸に新しく刻まれた「KYOKUSHIHO」には、すでに多くの歴史が詰まっている。新校名初年度、目指すは聖地への切符だけだ。