札幌北も南に続いた! 猛打で2大会連続南大会進出 道内屈指の公立進学校2校が初の夏同時出場【南大会札幌代決】
■全国高校野球選手権南北海道大会札幌支部(7月3日、札幌麻生)
▽Hブロック決勝 札幌北13―6札幌北陵 ※八回コールド
5番・中村は4安打4打点 偏差値70超えの秀才軍団が18安打13得点
札幌南に続いた! 札幌北が18安打13得点と圧倒し、2大会連続5度目の南北海道大会出場を決めた。一回に3点を先制されたが、すぐさま逆転。その後も攻撃の手を緩めることなく、札幌北陵の投手陣から快音を重ね続けた。5番に座る中村一翔一塁手(2年)が4安打4打点と躍動した。前日2日には札幌南が南北海道大会進出を決めており、道内指折りの公立進学校が揃って出場するのは史上初となる。
4安打4打点をマークした札幌北の中村
打撃強化に重きを置き、取られても取り返す野球目指す
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「森田野球」が結実しつつある。就任4年目となる森田有監督(47)は強豪の集う札幌支部を突破するため、打撃力強化に力を注いできた。マシン打撃やティー打撃、犠打練習などといった打撃練習をする同校のスポットは6箇所を数える。それぞれを3分間でグループごとに回し、約2時間半という限られた時間の中で無駄のない練習を課している。私立の強豪校相手に守り勝つというのは現実的ではないと考え、「それ以上に体力を付けて、得点の確率を上げていく」ことに重きを置き、取られても取り返す攻撃的なチームを構築した。
生徒の大半が大学進学のために入学 最初は主将も違う部活を見学
森田監督は2020年8月に就任し、部員集めにも奔走。道内屈指の進学校である札幌北は、生徒の大半が大学進学のために入学する。65分授業×5時限というスケジュールで勉強に励み、難関国立大を目指している。そのため、自ずと「野球をやりたい」という生徒は少なくなる。現に主将の西里悠陽遊撃手(3年)や稲原永久投手(とわ、3年)、西尾優吾右翼手(3年)らは入学当時、他の部活の見学をしていたという。そんな中で森田監督が熱心に頭を下げながら集めた10人の部員が、今の3年生だ。
選手の能力データ計測し モチベーション向上
同校の教師が「授業をするこっちも大変。みんな真面目で飲み込みが早い」と驚くほど、生徒たちの学力レベルは高い。そこで森田監督は、その高い理解力を持つ彼らの知性に刺激を与えた。昨年秋からスイングスピードや短距離走、敏しょう性などのデータを計測し始めた。年3回計測する予定で、昨年10月と今年4月、そして新チームになった際に3回目を計測する予定だ。数値が出ると、部員のモチベーションは向上する。この日4安打をマークした中村は昨年秋からスイングスピードが5キロアップし、大一番での好結果につながった。
「知的好奇心みたいなものをくすぐると、すごい(練習を)やるんですよね。勉強もそうなんですけど、ちょっと難しいことを与えた方が食いついてくるんです。こっちがやりなさいっていうより、自分たちでやっているんですよ」と指揮官。さらに、計測した数値は「全国でも、まあまあ上位の方にいる」という発見もあった。
昨年は札幌大谷に1回戦で大敗 今年は去年のようにしない
昨年の南北海道大会は1回戦で札幌大谷に4―12で大敗を喫した。西里主将は「言葉が出ないぐらい強かった。今年は去年のようにはならず、耐えていきたい」と意気込んだ。森田監督も「勝つとか負けるとかではなく、自分たちの表現の場として思い切ってやってほしい」と願った。偏差値70を超える秀才軍団が、強豪校相手に堂々と立ち向かっていく。
校歌を歌う札幌北のナインと全校応援の生徒