札幌MF金子「どこでもいいから当たってくれ」 神戸戦で光った執念のディフェンス
■7月4日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場
敵地から勝ち点1持ち帰るも「追加点が取れていれば勝てた」
北海道コンサドーレ札幌MF金子拓郎(25)が、一進一退の激闘となった1日の神戸戦(ノエスタ、1△1)を回顧した。ここまでリーグ戦全19試合でピッチに立っている金子。今季18度目となるフル出場を果たした一戦について「(自身が)得点であったり、アシストができていれば良かったかなって思いますけど、チームとして狙い通りの攻撃も守備もできていたので、追加点が取れていれば、勝てた試合だったかなと思っています」と、勝ち点3を札幌に持って帰れなかったことへの悔しさを口にする。
先制点を左足クロスから演出
「アシストができていれば」と語った金子だが、前半26分に生まれたMFスパチョーク(25)の先制ゴールでは右サイドからの左足クロスで起点となった。「初瀬選手がポジション取りで縦(への突破)を警戒しているなと思ったので、前半は中に入って簡単にクロスを上げようと考えていました」。中央に位置していたMF駒井善成(31)からのパスを受けると、細かくボールタッチをしながら前進。対峙していたDF初瀬亮(26)の裏をかく切り返しで一瞬マークを外し、ペナルティーエリアライン付近からクロスを上げた。
相手GKの特長を考慮し ギリギリくらいにピンポイント
神戸ゴールを守っていたGK前川黛也(28)は、積極的に前へ出てくるタイプ。「あのシーンは前川選手に少し触られてしまいましたけど、触れるか触れないかのギリギリくらいに蹴るということを心掛けていました」。プレースタイルも考慮したピンポイントクロスに、前川は反応して右手一本でパンチングしたものの、難しい態勢でのプレーとなったため、クリアボールはコントロールが定まらず、スパチョークの元へと転がった。ボールを受けたスパチョークは冷静に右足でゴールへと押し込んで、札幌が先制に成功した。「こぼれ球でしたけど、得点に繋がって良かったです」。記録には残らないが、金子の〝アシスト〟が光った場面だった。
得点阻止も左足 武藤の絶体絶命シュートに「たぶん左足が一番早く出せる」
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
金子のもう一つの見せ場となったのが、後半6分の札幌ゴール前での体を張った守備のシーンだ。右サイドからのFKを、ペナルティーエリア内中央で頭で折り返されると、ボールはワンバウンドして、ゴール右前で待ち構えていたFW武藤嘉紀(31)の方向へと飛んだ。金子も必死に体を伸ばしてヘディングでのクリアを試みたが、無情にもボールはその頭上を越えて武藤の元へ。絶体絶命のピンチの場面でチームを救ったのは、金子の左足だった。「武藤選手がシュートを撃つと思って。体の向き的に、たぶん左足が一番早く出せると思ったので、もうどこでもいいから当たってくれっていう感じで、体を出しました。当たってくれて良かったですね」。武藤が放ったゴール枠内へのシュートを、ほぼ背中を向けるかたちで懸命に伸ばした左足が見事に阻んだ。
こぼれ球シュートは同じ前橋育英高コンビのDF岡村が阻止
そのこぼれ球を拾ったFWジェアンパトリッキ(26)に再びシュートされるが、今度はDF岡村大八(26)が体を投げ出して、左膝でブロック。前橋育英高の先輩後輩コンビが、体を張って札幌を救ってみせた。「ゴール前の場面では、後ろにスゲさん(GK菅野孝憲)もいましたし、その後も大八くんがもう1回カバーしてくれて。みんなでゴール前で体を張れていたからこそ抑えられました」とチーム全員での失点阻止だったことを強調する。
後半40分にCKからのゴールで追い付かれ、結果的にはドロー決着となってしまったが、もしこの場面で早々に追い付かれてしまっていたら、MFアンドレス・イニエスタ(39)を勝利で送り出そうという神戸の勢いに飲み込まれていた可能性もある。この場面が、この試合の分水嶺となったといっても過言ではないだろう。
現在、失点数リーグワースト2位タイも 次につながる粘り見せた
現在の札幌の失点数は、リーグワースト2位タイの37。だが、この神戸戦で見せた粘り強い守備は、今後の札幌の守備再興を予感させるものだった。次節のアウェー福岡戦(ベススタ)に向けて「神戸戦みたいに、みんなで体を張って走って戦えれば、勝ち点3を取れると思うので、そこは徹底してみんなでやっていきたい」と意気込む金子。北海道とは異なる酷暑の中での戦いが予想されるが、神戸戦のような一体感を再びピッチ上で披露し、今度こそ敵地で勝ち点3をつかみ取ってみせる。