トレード加入の郡司 プロ1号の陰に〝ノリさん〟の教え「経験と指導が生きてきたのかな」
■パ・リーグ12回戦 日本ハム10ー3ソフトバンク(7月4日、ペイペイドーム)
記念すべき初ホームランで4試合連続ヒットを記録
フレッシュな戦力が、チームに新風を吹き込んでいる。日本ハムの郡司裕也捕手(25)が4日、ペイペイドームで行われたソフトバンク戦に「7番・DH」で先発出場。先頭で迎えた二回の第1打席でプロ初本塁打を放った。6月に中日から移籍後、4試合連続安打をマーク。くすぶっていた才能が新天地で一気に花開きつつある。
プロ4年目、通算153打席目で待望の一発が飛び出した。相手先発・和田のチェンジアップを捉え、白球を左翼ポール際へ運んだ。「芯には当たりましたけど、入ったとは思っていなくて。弾道も低かったので思い切り全力で走りました。(1号は)もうちょっと自分の中で早く打ちたかった。時間がかかってしまったので、ここから積み重ねていきたいと思います」と、メモリアル弾の喜びをじっくりとかみしめた。
〝打てる捕手〟が直面したプロの壁 苦い経験を今に生かす
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慶応大4年時の東京六大学野球秋季リーグでは、戦後14人目となる3冠王に輝いた。〝打てる捕手〟の肩書をひっさげ、プロの世界へ飛び込んだが、現実は厳しかった。中日時代の4シーズンで通算安打は24本。見えない壁に直面した。
「振り返って『何でだったのかな?』と思った時に、打席の中で考え過ぎてしまっていた。苦労というほどでもないけど、苦しかった経験が今生きていると思います」。積み重ねた努力は、決して無駄ではなかった。
胸に刻まれた中村紀洋コーチからの助言 「生きてきたのかな」
稀代の強打者からの教えが、今も胸に残っている。長い時間を2軍で過ごした中日時代には、中村紀洋打撃コーチ(49)から金言を授かっていた。郡司は「(自分を)そんな長距離打者ではないと思っていたんですが、ノリさんには『長打を打てるんだから、狙うところは狙わないと』と言われていました。技術的には何も変えていない。ドラゴンズ時代の経験と指導が、遅くなりましたけど、生きてきたのかなと思います」と感謝する。現役通算404本塁打を放ったレジェンドの言葉は、少しの時を経て実を結んだ。
移籍後の打率は驚異の5割 新天地で大ブレークの予感
移籍後4試合は14打数7安打で、打率5割。そのバットは打ち出の小づちと化している。「ちょっと自分でも怖い。いつ流れが止まるか分からないので、しっかり準備を欠かさずに明日からもやっていきたいです」。辛酸をなめてきたから、慢心は一切ない。巡ってきた覚醒のチャンスを、必ずものにする。