試合前練習中、グラウンドに異彩を放つ男がいた。５日に今季初の昇格を果たした山田だ。２月に腰の手術を受け、６月下旬に実戦復帰。ファームでは全７試合で１７打数１０安打。打率・５８８、３本塁打と驚異的な成績を収め、１軍行きの切符をつかんだ。試合前に意気込みを聞くと「はい！　もう、やるだけです。しっかりチームに貢献できるように頑張ります」と、気持ちの良い返事が戻って来た。真っ黒に日焼けした顔には、文字通り闘志がみなぎっている。

　記者は主に１軍の取材を担当しているため、昨オフに移籍してきた山田と顔を合わせるのは初めてだった。だが、その存在は西武時代から気になっていた。ビジター取材でベルーナドームを訪れた際には、いつだってフィールドで元気いっぱいに声を張り上げる姿があった。たった一人でチーム全体を活気づけるのだから、桁違いのエネルギーを持っているのだろうと想像していた。

　この日もノックを受ける最中には「飯山コーチ！　飯山コーチ！」と球場全体に響き渡るほどの大声を出してボールを要求していた。「元気が一番の取りえなので、そこで貢献したい。でも技術が付いてこないと元気も生きてこないですよね。まずは声からリズムをつくって技術でも貢献したいです」と山田。〝獅子男〟から北の元気印へ。ユニホームが変わっても、ムードメーカーぶりを存分に発揮してほしい。