変わる中学スポーツ 今年からクラブチームの中体連出場が解禁 ヴェイツ石狩男子バレーボール部が初陣に挑む
7月7日から全道中体連石狩管内大会に部員8人で初出場
総合型地域スポーツクラブを目指して活動している、Veitu(ヴェイツ)石狩中学男子バレーボールチームが、7日から行われる全道中体連石狩管内大会に初出場する。同クラブは中学部活動の地域移行を視野に、2021年4月に発足。1回戦は野幌中と対戦し、記念すべき1勝を目指す。
今年から全国中体連につながる大会にクラブチームの出場が可能になった。部員8人のヴェイツ石狩がいよいよ初陣を迎える。石狩管内大会に出場する11チームのうち、クラブは1チームのみ。発足当時、中学生は現在主将を務めるミドルブロッカーの工藤優将(屯田中央中3年)1人だけで9人が小学生だった。
工藤主将「緊張している部分もあるけど、みんなで勝ちたい」
工藤主将が通う中学に男子バレーボール部はなかった。競技経験もなかったが、周囲が他の部活動に入部する中、母の紹介でヴェイツ石狩に加入。9人の小学生たちと腕を磨いてきた。176センチの長身を生かした速攻が武器の工藤は「最初で最後の中体連。緊張している部分もあるけど、最後だからみんなで勝ちたい」と全力で立ち向かうつもりだ。
クラブの寺島聖人代表(39)は札幌市出身。高校時代は札幌稲雲のサッカー部に所属していた。専門学校を卒業後、札幌市内の中学、高校の外部指導者としてフィジカルトレーナーなどを経験してきた。その中で、「中学の部活動のあり方」を地域や道内各地の関係者らとともに10年以上にわたって探ってきた。
チーム名は「Venture Into The Unknown(未知の世界に踏み込む)」の頭文字
21年の発足時には、「部活だけではなく、中学生がスポーツを続けられる場がここにもある」とモットーを掲げた。チーム名のアルファベットは「Venture Into The Unknown(未知の世界に踏み込む)」の頭文字から。寺島代表は「挑戦できるような子供たちになってほしい。保護者の皆さんにも」と、込めた意味を明かしてくれた。
メンバーの中には中学の部活でバスケットボール部やバドミントン部に所属する生徒もいるが、「みんながいろんな種目を経験することは将来にプラス」と掛け持ちを認めている。
バレーボール部の活動は週に2回だが、熱心な保護者らが体育館などを確保して自主トレにも力が入っている。初の対外試合となった今年1月の「白鳥杯」はクラブチームと中学部活の混合大会。予選リーグではV2サフィルヴァ北海道(現イエロースターズ)のジュニアチームや、強豪の札幌八軒東中と同じ組に入り、3戦全敗となってしまった。工藤主将は「初めての公式戦で会場の雰囲気にのまれて、思うようなプレーができなかった。次は大丈夫」と引き締める。
速攻が武器の工藤主将
陸上クラブは部員17人中2人が全道大会出場
同クラブには陸上クラブもあり、ひと足先に行われた陸上の石狩管内大会では、部員17人中2人が全道大会出場を決めた。陸上は個人でできる種目が多いが、バレーボールは団体競技のため、少子化の影響もあり部員がなかなか集まらなかった。「石狩の中学校には男子のバレーボール部がない。いずれは大会に出られるチームにしたかった」と3年掛かりでの出場実現に喜びもひとしおだ。
寺島代表「時代に合わせたスポーツ環境をつくっていければ」
まだまだ課題は多いが、将来は「中学の先生、行政、クラブチームが時代に合わせたスポーツ環境をつくっていければ」と寺島代表。道内各地の同じような課題を持つクラブチームとも情報交換をしながら、その地域に合った活動を模索していく。