《岩本勉のガン流F論》野球の流れを感じた時、見せてはいけないのが淡泊さ
■パ・リーグ12回戦 ロッテ3-2日本ハム(7月8日、エスコンフィールド北海道)
目立った上沢の詰めの甘さ もったいない投球
上沢は、ズバリ詰めが甘かった。応援している身であり、レベルが高いピッチャーだからこそ、言わせてもらう。スコアブックを見返した時、つい「もったいない」という言葉が漏れてしまう。
一回、角中に打たれた本塁打はカウント2―2と追い込んでから。2―1の五回には2死から3連打を浴びて同点とされた。七回には、またまた2死から藤原に二塁打されて降板。その後、リリーフ陣がつかまった。
クオリティースタートを評価するレベルの投手じゃない
七回途中3失点。クオリティースタート(6回以上で自責点3以内)という文言が頭をよぎるが、そんなことで評価されるレベルのピッチャーではない。
一方の美馬も二回に2死から2二塁打で勝ち越しを許した。だが、三回以降は(七回まで)パーフェクト。スーパーシフトチェンジを敢行した。おそらく、帰りの燃料すら使い切ってしまうほど、目の前の勝負に徹したのだろう。入り球とウイニングショットはいずれも、どの球種も強かった。
フォアボール0の上沢 無四球に存在する落とし穴
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上沢は無四球だった。ここに落とし穴があったのかもしれない。フォアボールを嫌がり過ぎて、まともにベース上で勝負していた。今のロッテ打線は好調。簡単には打ち取れない。もっとカウントが散らかってもよかった。2死からヒットを打たれた後は、もっと時間をかけてもよかった。
無四球は良いことだ。ただ、恐れ過ぎてもいけない。すべては結果論ではあるが、もう一つ違った引き出しを見せてもらいたかった。きょうの痛みを次の糧にしてや!
3球三振に見た野村の淡泊さ どんな決断で打席に入ったか
打線では野村。二回にツーベースを放ったのは良かった。だが、八回の空振り三振には「?」が浮かぶ。強い言い方をするなら、執念を感じなかった。セットアッパーのペルドモが投じたスライダーを3球連続で空振りした。どんな決断で打席に入っていたのだろう。聞いてみたい。
1点ビハインドの場面。直前に池田が気合のセットアップで、ロッテを3者凡退に抑え込んだ。野球の流れを感じた時、見せてはいけないのが淡泊さ。しかも野村は先頭バッターだった。
すべては期待の裏返し 次に生かしてもらいたい
追い込まれたなら、タイムをかけ、ふと考えを整理することもできた。バットを短く持ってでも、何としてでも塁に出ようとする姿勢が見たかった。あの打席。いやらしさを、みじんも感じなかった。何度も言う。上沢もしかり、だ。すべては期待しているからこそ。何事も次に生かしてもらいたい。