吉田輝星 10日に初戦の弟・大輝にエール「夏は実力っていうより気持ちの勝負」
■イースタン・リーグ11回戦 楽天9ー3日本ハム(7月9日、鎌ケ谷スタジアム)
納得の投球内容 「1軍っぽい場面。良い練習になりました」
日本ハムの吉田輝星投手(22)が9日、2軍楽天戦で五回2死満塁から登板し、〝火消し〟に成功した。水上を2球で追い込むと、フルカウントまで粘られるも最後はフォークで左飛に打ち取った。続く六回も好投を見せ、1回⅓を無安打無失点に封じた。
「2死満塁からで、1軍のゲームっぽい場面だったので、すごく良い練習になりました。久々の感覚で良い感じに投げられました。2球で追い込んで、先手先手を取れたのは良かった。六回も自分のペースで、有利に進められている場面が多かったと思う。キャッチャーが(清水)優心さんで、『1軍を意識して』とマウンドに上がる前に話していた。優心さんはヒッティングカウントでも初球でも真っすぐのサインを出してきますし、ファームで抑えるため、成績を残すために変化球を投げるようなピッチングにはならないように言ってくれている。場面も場面でしたし、そういう意識できょうは投げられた。最近はストレートでファウルが取れているし、ゾーンの中で勝負できている。ファームだと真っすぐばっかり振ってくるバッターが結構多いので、そういうバッターに力勝負できているのは良いこと。あとは追い込んでから、変化球1球で空振りが取れるように意識して練習したい」と大粒の汗を拭った。
好転のきっかけは6月18日の楽天戦 「スッ、グワー、ドンみたいな」
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気温の上昇とともに、少しずつ状態も上がってきた。調子が上向くきっかけは、6月18日に敵地で行われた同戦での登板だった。
「仙台に行った時くらいから、良くなってきました。良い時のフォームのリズムを取り戻せた。頭で考え過ぎずに、結構、感覚派なので、擬音で投げる方が得意。藤川(球児)さんにも、スッと一回立って止まって、スー、ピタ、グーっていってみてって教わって、それだけで理解できた。頭でっかちになるのは僕の傾向では良くない。足を上げるところからグッ、グワーっていって、ピュッみたいな。いち、にーい、さんっ。スッ、グワー、ドンみたいな。ロボットみたいな感じにならないでやれている」と手応えを口にする。
頼れる先輩からの言葉も手助けに 元チームメートの西川に感謝
入団時から長くお世話になった頼れる先輩との再会も刺激になった。
「楽天戦の時に(西川)遥輝さんがたまたまいて、毎回対戦したらしゃべるんですけど、この時はフォークでめちゃくちゃ三振が取れていて『やっとフォーク落ちるようになってきたやん』って褒めてくれた。仲良くさせてもらっているので、全部はさすがに対戦する立場なので教えてくれないと思いますけど、ある程度、感覚を聞いてくれて、こんな感じですねって言ったら、『(吉田が)思っているより良いと思うけどな』とか、いろいろ僕について教えてくれる。すごいありがたいです」と感謝した。
食事の節制もトレーニングのうち 「夏バテという言葉は僕にない」
夏バテとも無縁だ。暑さに強い理由は徹底した節制とトレーニングにある。
「僕は本当はめっちゃ食べられるんですけど、食ったら食っただけ(脂肪が)つくのが僕の体なので、食べ過ぎないように気をつけています。朝ご飯もちょっとタンパク質を取ってご飯1杯とヨーグルトで終わりとか、昼ご飯もそばだけ食べておしまいで、夜も炭水化物を抜く時もある。それでも全然、体重は変わらないんです。きょうはこれからウエートをするんですけど、そういう日は夜ご飯でタンパク質を多く取って、炭水化物も玄米と白米を半分ぐらいで混ぜて食べています。基本、脂っこいものを食べないようにしていますね。普通の人は夏は体重が落ちるから食べないといけないんですけど、逆ですね。夏も気をつけないと。小さい頃は泣きながらご飯を食べていたタイプだった。父親からよく、夏こそ厳しく、食えよって言われて。結構大変でした。今は逆に3杯くらい食べたいなっていう日もあるんですけど、我慢我慢って言って1杯で終わらせるようにています。あとは夏でも、走る量だったり、練習量を落としたりはしない。夏バテとかいう言葉は僕にはないです」
平常心ではいられない弟の試合 「夏は気持ちの勝負」
夏といえば、甲子園の季節。5年前、金足農高(秋田)のエースとして甲子園準優勝を果たした。準V右腕は今、後輩たちに熱視線を送っている。今年は弟の大輝(1年)も、同校野球部に入部した。10日に、聖地につながる秋田大会の初戦を迎える。
「ベンチには入ったみたいですね。あした(10日)は試合も入っていない(登板予定がない)し見ようかな。今まで弟の試合は見たことない。自分がやっている時は、ノーアウト満塁からの登板でも普通のメンタルでいけるんですけど、弟の試合を見るとなると、見ている方が緊張するかもしれないです。僕らの時は、(気を)抜いたら食われるっていうイメージがすごいあった。僕がキャプテンだったので、ミーティングではマジで10ー0で勝つ気持ちでいくぞって感じで伝えていました。初戦は2ー0で勝ったんですけど、このままだと足をすくわれるわって思って。気持ちを切ったら、どんだけ勝っていても盛り返されるし、どんだけボロボロに負けていても、相手が油断した瞬間に、こっちがまだ魂がみんな残っていたらいける。夏は実力っていうより気持ちの勝負。古くさい感じですけど、本当にそういう部分はあると思う。うちの学校は結構厳しいので、そういう精神面は鍛えられるでしょうね(笑)。弟は実力とか体のポテンシャルは僕より上だと思うので、あとは見られて(注目されて)やってやるみたいな感じの気持ちが強くなれば、良い選手になるんじゃないかなと思います」とエールを送った。
目指すは早期1軍昇格 充実の練習で日々進化
弟や後輩たちに、かっこ悪い姿は見せられない。「焦りはこっち(2軍)に来てから常にあります。焦りすぎて4月とかは変な練習ばっかりしていた。今はちゃんと考えて練習できている。めちゃくちゃ焦って練習はしますけど、テキトーにはならないように。暇な時はずーっと映像を見て、自分がどうなっているのか確認しながらやっています」。一日でも早く1軍に上がるため、必死に丁寧に練習を積み重ねていく。