森重 2強抑え初V
■スピードスケート全日本距離別選手権 第1日(22日、長野・エムウエーブ)
2強に待った! 男子500メートルは、今季からナショナルチーム入りした新鋭の森重航(専大3年、別海上風連中出)が34秒64の大会タイ記録で初優勝。昨季、500メートルの国内主要タイトルを独占した新浜立也(25、高崎健康福祉大職、釧商高出)と村上右磨(28、高堂建設)の2人を抑え、初のW杯切符を獲得した。そして北京五輪の出場権獲得へ堂々、名乗りを上げた。女子の高木美帆(27、日体大職、帯南商高出)は大会新で3000メートルを制し、500メートルで2位に入った。
五輪本番まで残り104日、新たなスターが誕生した。森重は新浜を0秒03上回ってゴール。何度もガッツポーズを繰り出し、喜びを爆発させた。
「優勝できると思っていなかったので素直にうれしい。2人(新浜と村上)には追いつきたいという気持ちの方が強かった。少しびっくりしてます」と笑顔で会心のレースを振り返った。
理想の展開だった。アウトスタートの森重は最初の100メートルを全体6番手の9秒67で通過した。「バック(ストレート)で前の選手を追えたのが良かった」とインとアウトが入れ替わったラスト半周は同走の村上を目標に加速。最後の400メートルではただ1人、24秒台をマークした。
初陣となるW杯は、今の力がどこまで通用するかを確かめる試金石の戦いとなる。「挑戦するつもりで臨みたい」と意気込んだ。
元々、100メートル過ぎからの滑りが武器だった。「ナショナルチームではスプリント力がある選手が周りに多い。それを吸収できた」。課題だったスタート100メートルのタイム向上につなげた。「先週のトライアルで34秒5を出していた。まだまだタイム的には上に行ける」とも言い切る。頼もしい21歳だ。
W杯通算6勝で2019―20シーズンの種目別総合王者・新浜は別海白鳥少年団の先輩。世界トップクラスに勝利し、初の五輪出場も現実味を帯びてきた。「まだちょっと実感がわかない。争いに入れると思っていなかったので、(年末の)代表選考会に向けて(状態を)高めていきたい」。成長著しいスプリンターが一気に大注目の存在に躍り出た。
(西川薫)
森重 航(もりしげ・わたる) 2000年7月17日、別海町出身。別海上風連小2年時に競技を始める。別海上風連中から山形中央高へ進学。同2年時の全国高校選抜で短距離2冠。専大1年時のジュニアW杯(オランダ)で500メートル優勝。今季からナショナルチームで活動。昨季までの自己ベストは34秒82。
新浜2位も猛省「100%ではない」
2位での表彰台に複雑な心境を吐露した。スタートでつまずき、スピードに乗り切れない。後半に伸ばしたが、首位に0秒03差。「まだまだ自分の滑りを見失っている。100%ではない。自分の感覚ではブレードが4回ぐらい刺さった感覚」と反省の言葉が次々と口を突いて出た。優勝した森重に関しては「先週からすごく調子がいいのを感じていた。それが的中した。自分にとっても刺激になるのは間違いない」。初の五輪出場へと切磋琢磨していく。
美帆3000㍍で2年ぶり優勝
高木美がオールラウンダーぶりを改めて示した。1種目の500メートルは、優勝した小平奈緒(35、相沢病院)と同走。0秒07及ばず、2位となった。休む間もなく、約4時間後の3000メートルでは2位に2秒以上の差をつける4分5秒00の大会新で、2年ぶりの優勝を飾った。「距離別でこのタイムは初めて。でも世界を見据えた時にはこのタイムでは戦うレベルにない」と厳しい評価。きょう23日は1000メートルに出場。「ラップも出るようになってきているので自分のものにできるように攻めていきたい」と4連覇に挑む。