札幌GK松原 「厚別で戦うことは特別なんだぞってことを発信していきたい」 しばし別れの一戦へチーム盛り立てる
■7月14日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場
ファンとして、アカデミー生として、そしてプロ選手として。長きにわたって北海道コンサドーレ札幌を見つめてきたGK松原修平(30)が札幌厚別公園競技場の思い出を語った。
出合いは小学1年生、函館で行われたサッカー教室
松原と札幌との出合いは小学1年生の時。「函館でスクールがあったので行ってみて。試合も見て面白かったです」。1999年に松原の地元・函館市千代台陸上競技場で行われた『コンサドーレ札幌サマーフェスティバルin函館』のサッカー教室に参加したことがきっかけだった。「サッカーをやっていたらコンサドーレが目に入ってきますし、ユースがあってうまい子はみんなそこに行くと言っていたので、そこを目標にしてトップチームも追っているという感じでした」。その目標を現実のものとし、松原は札幌U-15入りを果たし札幌U-18へとステップアップしていった。
「大谷地駅から厚別まで歩いて行くとき、特別な所に行く感じ」
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札幌ファン時代の厚別は、松原にとってどういう場所だったのか。「大谷地駅から厚別まで歩いて行くときに応援の声が聞こえてくるのが、特別な所に行くという感じがありました。自分にとっては、ドームよりも厚別の方が遠くから歓声も聞こえてくるのも含めて好きというか、特別な場所って感じはしました」。
アカデミー時代の思い出は09年8月5日福岡戦の上里のロングシュート
アカデミー所属の選手となりトップチーム昇格を目指していた時代に厚別で観戦した思い出の試合が、2009年8月5日の福岡戦(3〇0)だ。「僕が高校2年生の時に、1個上の古田寛幸くんが初めてスタメンで出る試合にチケットを取ってもらってユースの仲の良い選手全員で見に行って。そうしたら上里さんのあのロングシュートを目の前で見て。古田くんの応援もありましたけど、その試合の印象がとても強かったです」。後半22分にMF上里一将が自陣センターサークル手前約65メートルの距離から衝撃的なロングシュートを決めた衝撃弾に度肝を抜かれた。
「特別にしているスタジアムに相手として乗り込むのは本当に嫌でした」
札幌でのトップチーム昇格はかなわなかったが、岡山からオファーを受けプロ入り。16年9月3日天皇杯2回戦札幌戦(札幌1-2岡山)でベンチ入りしプロ選手として初めて厚別へ。
湘南移籍後の19年7月20日札幌戦(札幌5-2湘南)では自身2度目、リーグ戦では初となる厚別凱旋を果たした。プロ入り後の厚別での思い出の試合を尋ねると、「リーグ戦でベンチ入りして厚別に来た時に(観客が)1万人ぐらい入っていて。バスから見る風景とかがすごく懐かしくもあり、泣きそうになりながら入って。そのときは負けちゃったけど、あいさつのときに拍手をもらって。コンサドーレのサポーターの圧力を感じましたし、みんなが聖地だって思っている所で相手チームとして試合するのは、こんなにしんどいんだって思いました。厚別というコンサドーレが特別にしているスタジアムに相手として乗り込むのは本当に嫌でしたね」。
「しばらく戦えなくなるのは寂しいけど、一体感を持って」
数々のチームを渡り歩いてきた松原だが、22年途中ついに札幌のトップチームの一員となった。札幌2年目のシーズンを戦う中、愛着の深い厚別とのしばしの別れのときが近づきつつある。「チームとして大事にしている場所ですし、しばらく戦えなくなるのは寂しいけど、出る選手、出ない選手、コンサドーレの歴史を知っている選手、そうでない選手含めて、ラストマッチとして一体感を持っていければ。僕とか(宮澤)裕樹くんとか、(荒野)拓馬とかは歴史を知っている人間なので『厚別で戦うことは特別なんだぞ』ってことを発信していきたいし、そういう雰囲気をバスから、ロッカールームから、ピッチ内アップ、試合中も含めてつくっていきたいな」。松原が、札幌の歴史を知る選手たちが、そして札幌を、厚別を愛するサポーターが特別な思いを抱いて臨む新潟戦。負けられない一戦で札幌が勝利を手中に収めて、厚別の歴史にまた新たな1ページを刻み込む。