釧路工業が〝ダービー〟制し8強入り 救援専門の関投手が投打に貢献【北北海道大会】
■全国高校野球選手権北北海道大会第3日(7月15日、旭川スタルヒン球場)
▽1回戦 釧路工業13-10釧路江南
六回途中からリリーフ、4回2失点
大会記録にあと1本と迫る両チーム合わせて31安打の乱打戦を制した釧路工業が7年ぶりに初戦を突破した。六回途中からマウンドに上がった関裕彩二塁手(3年)が4回2失点と苦しみながらも勝利に貢献した。釧路工業は準優勝した2014年以来の4強入りをかけ、17日の2回戦で白樺学園と対戦する。
支部大会の打率8割
関が最後の打者を右飛に打ち取ると、右手人さし指を空へ突き出した。「練習試合でもこんな乱打戦はなかったんで、ちょっとびっくりして焦りもありました」。打撃では同点の四回に一時勝ち越しの2点二塁打。支部大会ではチームトップの打率8割。「バッティングは地区大会から調子良かったんで、あんまり心配しなかった。打線が援護してくれてすごいうれしかった」。「5番・二塁」で先発した22年春以来の道大会初戦突破に満面の笑みを浮かべた。
3度追い付かれる苦しい展開
リードしてもリードしても追い付かれる。手の内を知り尽くした〝釧路ダービー〟は予想通りの激戦だった。辛くも逃げ切った中村昭和監督(48)は「エラーが…」と、雨でぬかるむグラウンドが影響しての4失策に苦笑い。「(内容は)負けゲームですね。なんとか最後に突き放して、彼らの気持ちが出てくれた」。3度同点に追い付かれても一度も勝ち越しを許さなかったナインの踏ん張りをたたえた。
関がアクシデントを乗り越え、勝利に貢献した。1点差に追い上げられ、なおも六回無死一、三塁から2番手でマウンドに上がった。一打同点のピンチだったが、切れ味鋭いスライダーで連続空振り三振。ボークで同点に追い付かれたが、後続を断ち切り逆転は許さなかった。
六回、頭部に死球も裏の守備から復帰
直前の打席で頭部に死球を受け一度はベンチに下がった。臨時代走が出され医務室でチェック。「最初はキーンっていう音で外の音が聞こえなくなって。でも、痛みよりもすぐアドレナリンが出てたんで、すぐに立てた。休んだ時にもう耳鳴りはなくなっていた」。幸いにも異常なく、その裏の守備から戦列に復帰した。
苦い思い出もプラス思考に転換
公式戦で先発は一度もなく、リリーフ専門。22年夏は支部決勝で九回からマウンドに上がったが延長十三回タイブレークの末に敗退。秋の全道は1回戦の旭川龍谷戦に五回途中から登板したが、3回⅓を投げて自責1。1点差で涙をのんだ。「最近はそういう場面になったら思い出します。結構よみがえってきますけど、次は打たれないようにとか絶対に点はやらないっていうプラスの方向にどんどん考えていきます」。苦い思い出を塗り替えるために腕を振り続ける。
旧友たちとの対戦
地元勢同士の対戦。「塁上で話したり、互いに励まし合ったりしていたんで気楽にいいゲームができた」。なかでも、釧路江南の鵜ノ澤楓矢二塁手(3年)と長谷川颯介一塁手(3年)は、釧路鳥取中時代に共に白球を追いかけた球友だ。試合後「2人から声をかけられました」。その思いに報いるためにはまだまだ負けるわけにはいかない。
14年夏、釧路工業と武修館の決勝戦を地元でテレビ観戦した。「1歩前進しましたけど、次はどこが来ても敵は関係ない。自分たちの野球を貫いて頑張っていきたい」。今度は自らの力でチームを頂点へ導く。