上沢が今季100イニングを突破 入団時「3回でヘロヘロ」だった右腕が、イニングイーターに
■パ・リーグ12回戦 日本ハム0ー1西武(7月15日、ベルーナドーム)
これぞエースのピッチング! 酷暑の中8回4安打無失点
日本ハムの上沢直之投手(29)が15日、西武戦(ベルーナドーム)に先発し、8回104球を投げて4安打無失点と熱投。白星こそつかなかったものの、オールスター前最後のマウンドで、これぞエースのピッチングを見せた。
午後6時の試合開始時点で気温は30度超え。上沢がかぶっていたファイターズブルーの帽子は、汗でびっしょりとぬれていた。「暑いので、早く追いこんで、早くベンチ帰ることしか考えていなかった」。力感のないフォームから凡打の山を築いた。
重圧はねのけ好投 「勇気を持って投げていくしかない」
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連敗中のプレッシャーがなかったわけではない。「一人でやるスポーツではない。自分ができる仕事をして、勝てるチャンスを残しておくのが先発ピッチャーは大事かなと思う」と自らの責務を全う。チームは7試合連続の1点差負けを喫し、「終盤になるとホームランとかちらつくし、怖さはありますけど、勇気を持って投げていくしかない。何とか勝ちたいと投げていましたけど、うまくいかない時もある。みんな一生懸命やっている」と言葉をつないだ。
今や球界を代表する右腕の一人 成長に目を細める加藤投手コーチ
今季は5月24日のソフトバンク戦で通算1000投球回を達成。ここまで106回3分の2を投げ、前半戦の目安にしていた100イニングをクリアした。
先発の柱として長いイニングを任されている右腕だが、入団時はスタミナが課題だった。2011年のドラフトで6位指名を受けて日本ハム入り。12年から14年まで2軍担当だった加藤武治投手コーチ(45)は懐かしそうに当時を振り返る。「投げても、3回でヘロヘロだった。デブだったよ。腹筋も腕立てもできない。三段腹だし」。アスリートとはほど遠いような体形だった。
入団時から変わらぬ美しいフォーム
それでも、長身の右腕にはキラリと光るものがあった。「他のところは全然だけど、投げるセンスはあった。新人合同自主トレから、きれいな投げ方するな~って」。オーバースローの美しい投球フォームに目を奪われたという。
プロ2年目までは、加藤コーチと二人三脚で体づくりに専念。上沢は「加藤さんのおかげです。今でもやった練習メニューは覚えています」と感謝する。地道な努力が実を結び、3年目に1軍デビューを果たし、8勝を挙げるなど飛躍のきっかけをつかんだ。
今季の目標は自身初の180イニング 「まだまだ努力していきたい」
実績を積み重ね、エースと呼ばれるまでに成長。プロ12年目の今季は、自身初の180イニング到達を目指している。
「きょうみたいに気温が高く暑いところで、しっかり長いイニングを投げたら中継ぎの人も助かると思う。オールスター前にこういう形で締めくくれて、自分の内容としては良かったですけど、なんとか勝ち切れるようにまだまだ努力していきたい」。勝利投手の権利を得る五回を投げきれなかった男は、今では頼もしいチームの大黒柱だ。