札幌南 春全道準Vの北海道栄に1点差惜敗 自慢の猛打ふるわず【南北海道大会】
■全国高校野球選手権南北海道大会第1日(7月16日、札幌円山球場)
▽1回戦 札幌南1-2北海道栄
8年ぶりの南大会
あと一歩だった。8年ぶりの南北海道大会出場となった札幌南は春季全道大会準優勝の北海道栄と対戦。先発・大山泰知投手(3年)が9回2失点と粘りの投球を見せたが、わずか1点及ばなかった。
大山投手「力は出し切れた」
試合後、大山はすっきりした表情を見せた。9安打を浴びながら2失点にまとめ何とか勝機を探った。「僕が抑えれば勝てたなと思いますけど、力は出し切れたと思いますし、練習も全く悔いが残らないぐらいやれたので全然後悔はないです」とすがすがしかった。
六回先制も直後に逆転される
先制したのは札幌南だった。六回2死二塁の好機を作ると大山の放った二ゴロを相手二塁手がファンブルし二走が一気に生還。球場のボルテージは一気に増した。しかし、相手もすぐさま反撃を開始。七回2死一、三塁からスクイズで同点、続く打者に勝ち越しの適時三塁打を浴びた。
支部9本塁打34得点の打線も「対策立てられた」
田畑広樹監督(40)も「今年一番のピッチングだった」と話すほど、抜群の投球。惜しむらくは札幌支部予選で3試合9本塁打34得点を記録した自慢の打線が鳴りを潜めたことだ。相手外野手の頭上を襲った打球は何度もあった。しかし、札幌支部を戦った麻生球場よりも広い円山球場ではひと伸び足りなかった。指揮官は「いい打球は飛んでいたと思うけど、相手のポジショニングも含めて対策をしっかり立てられた」と相手の想定を上回ることはできなかった。
昨夏の王者・札幌大谷を支部で撃破
札幌支部予選では今夏最大のサプライズを巻き起こした。昨夏の南北海道王者・札幌大谷に11―7で打ち勝ち、その打撃力は確実に相手の脅威となっていた。OBたちの支援で最新の設備を揃え、さらに選手たちもそれを最大限活用できるように考え抜いた賜物だ。
北大研究室で動作解析も行う
目指したのはメジャーリーグのようなパワーあふれる打撃力。そのかち上げるような打撃をただモノマネするだけではなかった。日本人の身体的特徴も捉えながら、OBの所属する北大の研究室を利用して動作解析も行うなど打撃の本質を解明することに時間を割いた。道内屈指の進学校にはこれ以上ない〝ご褒美〟。「彼らの探求として、興味深いものになったんじゃないか」と田畑監督。
専属のデータ班を設置
また、専属のデータ班を設置し、映像がある試合は一通り見て相手を分析する。その中でデータに頼りすぎないことも重要だ。村尾優作主将(3年)は「春の大会ではデータを見過ぎて、相手(の実力)を大きくしてしまった。頭でっかちにならず、その場で感じたこととデータをしっかり合わせて判断できるようにしてます」との反省を生かして南北海道大会まで勝ち上がってきた。
田畑監督「まだまだ見たかったチーム」
指揮官は「1試合1試合、選手たちは強くなっているなと感じていたので、このメンバーでもう試合をできないのがすごく残念な思い。まだまだ見たかったチームだなと思います」と率直な思いを吐露。試合後もスタンドから万雷の拍手を浴びた。大きな爪痕を残した札幌南が今夏の戦いを終えた。