高校野球
2023/07/16 22:00

名寄支部悲願の甲子園へあと2勝 士別翔雲がエスコンF一番乗り【北北海道大会】

八回無死二塁、士別翔雲の須藤(中央)が左翼に2点本塁打を放ち一・二塁間で拳を突き上げる(撮影・星野雄飛)

■全国高校野球選手権北北海道大会第4日(7月16日、旭川スタルヒン球場)
▽2回戦 士別翔雲10-7武修館

同校初の4強

 士別翔雲が10-7で武修館の追い上げを振り切り、準決勝が行われるエスコンフィールド北海道一番乗りを決めた。序盤7点リードを1点差まで詰め寄られたが、八回無死二塁から1回戦で無安打だった4番・須藤伊吹一塁手(3年)が試合を決定づける公式戦初アーチで勝負を決めた。同校初、名寄支部としては2000年の稚内大谷以来となる北大会4強入り。同校初の決勝進出をかけて22日の準決勝では旭川明成―旭川志峯の勝者と対戦する。

4番・須藤の一発で振り切った

 主砲が復活のど派手な祝砲を打ち上げた。「打った瞬間ホームランとは思ってなかったけど、長打で抜けるなとは思いました。試合前から相手投手が右打者のインコースに来るって話していて、少しオープン気味に立ってそのインコースを仕留めました。してやったりです」。この試合では3安打2打点と固め打ち。1回戦の足寄戦の鬱憤(うっぷん)を爆発させた。

豪打爆発で歴史塗り替える

 14日の北大会初勝利に続き再び歴史を塗り替えた。1回戦では13安打、武修館戦では14安打と豪打が爆発。渡辺雄介監督(41)は「不思議な感覚です。積極的に振る姿勢がすごくいいのかな」。復活した主砲のアーチには「今日は須藤が輝く日だってみんなに言ってたんで、最後に輝いて良かった。最後のタイムかけて『いつも通りやろう』って、その直後に打ったんで自分でもびっくりしました」。足寄戦では感激で涙ぐむシーンもあったが、たくましく成長を遂げたナインの姿に目を細めた。

 三回までの7点の大量リードをじわじわ追い上げられた。「監督から絶対に追いつかれるって話をされていた。チーム全員が追加点取られてきても慌てないで、しっかり取れるアウトを取れていたので良かった」。チーム全体に焦りはなく、五回以降は堅い守りで投手陣を援護した。

「そこまでやるか」殻を突き破って成長

 新チーム発足時、3つのテーマを掲げた。その一つが「そこまでやるか」。1月にはマイナス20度の中で早朝から日が暮れても、屋外やビニールハウスを使いながら合宿を行った。主将の上野泰聖左翼手(3年)は「今までやってこなかったわけではないんですけど、前の代でも勝てなかった。自分たちの想像の範囲を出た、その次元まで(いかないと)」。殻を突き破ることで成長につなげてきた。「監督にもよく言われるんですけど、まだ未完成。これからもっと伸びしろがあると思うんで、もっと練習してさらにレベルアップしていきたい」。現状に満足することない姿勢が快進撃につながっている。

須藤「1試合1試合本当に全力で楽しんでいきたい」

 北海道内10支部で甲子園出場未経験が名寄支部。1993年の稚内大谷以来30年ぶりの決勝進出へ王手をかけた。殊勲の須藤は「北大会で初めて勝って、そこから歴史をどんどん変えていこうって話してた。今日もまた新しく歴史を変えられた。甲子園もあと2つなんですけど、1試合1試合本当に全力で楽しんでいきたい」。稚内大谷が3度はね返されてきた頂点へ。日本最北の支部の悲願達成へ。いざ決戦の舞台・北広島へ乗り込む。

関連記事一覧を見る

あわせて読みたい