金子が世界へ このチャンスを逃すべきではないしクラブの士気も上がる《河合CRC竜の眼》
新潟戦は雨の影響で残念な結果と内容
15日のホーム新潟戦(0●1)は、聖地・札幌厚別公園競技場の改修工事前最後となる試合としては残念な結果、内容だった。雨が強く降り風も吹きつけるなどピッチコンディションが最悪な状況で、ボールコントロールが難しくなるといった影響が出てしまったのかなと思っている。
動きの連動性が乏しかった
前半はシュート3本にとどまり、なかなか決定的なチャンスをつくり出すことができなかった。ビルドアップの段階ではいつも通りできていたが、新潟のDFとMFの間のバイタルエリアがすごくコンパクトで、その部分で挟まれてしまった。一番時間的な余裕が無いエリアなので、前向きになれる時間をつくるためにも裏に抜ける選手、落ちてくる選手といった関係性がほしいところだったが、そういう動きの連動性が乏しかったように感じている。
上下動だけがハードワークではない
後半8分、新潟に先制を許した。新潟の特長である1人、2人、3人と関わる流動性ある攻撃から得点されたが、クロスを上げた選手にMF荒野がマークに行けなかったところからきっかけをつくられてしまった。あの場面はあそこに縦パスが入るのが見えてるので、荒野はしっかりポジションを取って、中を走られないようにしなければいけなかった。相手選手の内側を取って、もう1回外側にパスを出させるための対応が必要な場面だったが、あの場面ではその意識が若干欠けていたかなと思った。上下動だけがハードワークではなく、一番突かれてはいけないポジションに戻り、またそこからボールに対してアプローチしていく、それもハードワークのひとつだと認識してほしい。荒野だったらやれるはずだ。
新潟に見習うべきところを感じた
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相手選手の退場で数的優位となりボール支配率もおそらく8割を超えていたとは思うが、新潟が『ただ守ればいい』というやり方にならず、札幌がボールを下げたらDFラインを上げて、ボールホルダーにもしっかりプレッシャーをかけに行っていたので、そこは本当に見習うべきところだと感じた。
新潟戦で敗れ、札幌はリーグ戦5試合勝ち無しとなった。この状況を打開するためにも、勝つために何ができるのかを考え、続けることが必要。90分間それを続けて、ようやく勝ち点3を得ることができるのだと感じてほしい。
福岡戦もカウンターで失点
8日の福岡戦(1●2)でも、大チャンスの場面でスルーパスを奪われて、そこからのカウンターで失点してしまった。あそこでパスを1本通す、通さないが重要な世界だと思っているので、そこの精度はしっかり突き詰めていきたい。
調整力を高めていかなければ
そしてゲームの中での調整力も高めていかなければいけない。ピッチで起きていることを選手で解決する意識を強く持つことが大事。言われたことをやるだけではなく、勝つために何ができるのかを個人個人が考えていく必要があるのではないだろうか。
感謝しかなかったサポーターズデー
新潟戦翌日の16日には『2023サポーターズデーin宮の沢白い恋人サッカー場』が開催された。延べ4986人ものファン・サポーターにご来場いただき、改めて北海道の方々に愛されているクラブなのだなと感じた。私は今回は裏方として働いていたので直接皆さんと交流できるタイミングは多くなかったが、皆さんの熱量をすごく感じることができたし温かい言葉もかけていただいて本当に感謝しかないと思っている。
初めて会った18年からすごいプレーをしていた金子
サポーターズデーのエンディングでは、MF金子がクロアチア1部ディナモ・ザグレブとの移籍交渉を行うことが発表された。金子と初めて会ったのは18年8月の日本大学との練習試合。私もその試合に出場していたが、すごいプレーをしていたのを覚えている。キックフェイントもあるしドリブルもスピードがあるしで、みんな抜かれていて敵としては本当に嫌な選手だったし明らかにモノが違うなと思った。
『北海道とともに、世界へ』というスローガンにのっとった移籍
その後も練習参加に来て一緒に練習していたこともあって、思い入れもあるし、下からはい上がってきたというところもすばらしいなと思う。札幌は『北海道とともに、世界へ』というスローガンを掲げているが、そのスローガンにのっとった移籍であると思うし、私からすると、このチャンスを逃すべきではないと思っている。そしてこれでまたクラブの士気も上がるし、このクラブに行けば世界へ行けるんだということで、有望な選手の獲得にもつながってくると思っている。
金子自身もサポーターズデーで直接皆さんの前でこのことを話すことができて、いい機会だったのではないだろうか。ここからどんどんステップアップして日本代表にも入ってもらいたいし、5大リーグで戦うような選手になって、どこのチーム出身なんだと問われたときに「コンサドーレだ!」と答えて、札幌の名をとどろかせてくれるような成長を期待したい。