高校野球
2023/07/17 20:30

エスコン切符は譲れない! 札幌日大高 背番号18の藤原雅久が7回ノーヒッター!【南北海道大会】

7回をわずか72球で好投を見せた札幌日大高の藤原(撮影・熊谷洸太)

■全国高校野球選手権南北海道大会第2日(7月17日、札幌円山球場)
▽1回戦 札幌日大高8―0函館工業※七回コールドゲーム

7回をわずか72球の快投

 初戦を任された背番号18がこれ以上ない〝一発快投〟で起用に応えた。札幌日大高の先発右腕・藤原雅久投手(がく、3年)が7回参考ながら無安打無得点を達成しチームを快勝発進に導いた。相手打線を一切寄せ付けない投球で7回をわずか72球でまとめた。森本琢朗監督(42)も「いいピッチングをしてくれた」と目を細めた。出場校の中で「エスコンフィールド北海道」に最も近い札幌日大高がエスコン行きに王手を掛けた。

「チームの勝利が第一なので何本打たれても」の気持ちが

 立ち上がりから直球の精度が抜群だった。135キロ前後のボールが常に打者の膝元に制球されていた。さらにスライダーや緩いカーブを織り交ぜるストライク先行の投球でテンポ良く打者を差し込んでいった。気付けば無安打のまま試合は進んでいった。当の本人は「打たれてないな」ぐらいの気持ちで、記録には無関心。7回参考での記録となったが「チームの勝利が第一なので(安打を)何本打たれても勝ちにつながるピッチングをできればいい」。

メンタル面の弱さから今春エースナンバー譲る

 悔しさの募った春を乗り越えて一皮むけた。昨秋は背番号1を付けていたが、精神面の弱さが目立っていたことで今春からエースナンバーを小熊梓龍投手(しりゅう、2年)に譲っている。メンタル面の欠点を克服するために姿勢や表情から意識を変えた。「練習中に下向くことが多かったので、上向いて強く走った」と強気の表情を作るように心掛けた。

ブルペンで打者を立たせ、懐突く制球力身につけ

 さらに自信を深めたマウンドがあった。春季全道大会の北海との準々決勝だ。3番手で自己最速138キロをマークするなど1回無失点と好投。この登板で自分の投球を信じられるようになり、あとは最後の夏に向けて練習を重ねるだけだった。ブルペン投球では打者を立たせて投球練習し、打者の懐を突くことのできる制球が身に付いた。

 精神と技術両面の成長はボールからも伝わってくる。女房役を務める髙橋諒太捕手(2年)も「元々決まったときのボールは良かった。その精度がピッチングするごとに上がってきている」と変化を感じ取っており、「コントロールに困らないし、強気にピッチングができる」と全幅の信頼を置く。

「粘って粘って、最後に笑うのは自分たち」

 北広島にある札幌日大高にとって「エスコンフィールド北海道」への切符を逃すわけにはいかない。藤原も「エスコンフィールドの準決勝、決勝で勝ってやろうという気持ち」と闘志を燃やす。チームスローガンは「粘勝」。「粘って粘って、最後に笑うのは自分たち」とチームの思いを代弁した右腕が最高の仕事を果たした。

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