旭川明成が初の4強入り エース千葉隆広がライバル旭川志峯に12K完封勝ち【北北海道大会】
■全国高校選手権北北海道大会第4日(7月17日、旭川スタルヒン球場)
▽2回戦 旭川明成1-0旭川志峯
四回、暴投で得た虎の子の1点を守り切る
息詰まる投手戦を制した旭川明成が3季通じて初の4強入りを果たした。四回2死一、三塁の場面で相手投手の暴投で得た虎の子の1点をエース左腕・千葉隆広投手(3年)が最後まで守り抜いた。被安打4、12奪三振で道大会初の完封勝利。最速は141キロをマークした。22日、北広島・エスコンフィールド北海道で行われる準決勝で、共に初の決勝進出をかけて士別翔雲と対戦する。
「今までで一番、緊張感もあって楽しい試合でした」
最後の打者を打ち取り、両手で空に向かって両手を突き出した。「今までで一番、緊張感もあって楽しい試合でした。完封は1イニングの積み重ねとか、1人のバッターとの対戦の積み重ねで結果的にそうだったっていう形。1人1人に集中できて良かった」、会心の投球にも涼しげな表情を浮かべた。
中学時代からのライバル関係
この3年間、旭川支部で何度も対戦してきた宿命のライバル。千葉ら3年生にとっては旭川スタルヒンでの最後の試合にふさわしい相手だった。小学5年生で初めて同球場のマウンドに上がった。旭川明成のスタメン9人中、千葉を含む5人が中学硬式の旭川北稜リトルシニア出身。また、旭川志峯も9人中4人が旭川大雪ボーイズの出身。少年野球時代から敵味方に分かれて対戦してきた。「相手は知り合いばっかりですけど、高校最後の対戦を楽しもうと思った」。思い出のたくさん詰まった最高の舞台で最後の試合に臨んだ。
捕手への信頼感でサインと違う球種を投げ
敵をだますにはまず味方から-。序盤から千葉投手のスライダーが冴え、八回を除く毎回の12奪三振。さらに千葉は河瀬晴翔捕手(3年)のサインと違う同系統の球を何度も投げた。「大体軌道が一緒だから取れるでしょって言って(笑)。サイン(の種類を)多くしすぎたらサイン交換も時間がかかる。ストレートでちょっとタイミングずらすためにリリースの角度をちょっと横にしたり」。捕手への絶対的な信頼感がなせる技。4度、得点圏に走者を背負ったが一度も三塁は踏ませなかった。
投球以外にも千葉のフィールディングが光った。少年野球で遊撃手の経験があると言うが、何度も強烈な打球を処理。2本目の安打を許して七回1死一塁の場面で投ゴロを併殺に仕留め、さらに九回無死二塁の一打同点のピンチも投前へのバントを三塁で補殺。危機を脱出した。「その1球で終わってしまうのが高校野球の面白さだと思うので、ああいう場面を貴重な体験だと思って全力で楽しめたと思います」。土壇場のピンチも楽しめる心の余裕があった。
父でもある千葉監督「最後は涙が出ましたね」
スタンドへの挨拶が終わると、千葉広規監督(46)は「きょうはナイスピッチング」と、エースとがっちり握手。父でもある指揮官は「最後は涙が出ましたね。よく頑張りました。なかなか点が取れなくて1-0かなと思って。終盤ピンチもあった中で、間を取りながら伝令を出しながら、なるべくみんなを落ち着かせてできたんでよく投げてくれた」。中2日で141球の力投を見せたエースをねぎらった。
既にエスコンフィールド視察済み
いよいよ決勝進出をかけてエスコンフィールドに乗り込む。実は北大会開幕直前にエスコンフィールドを視察済みだ。「初めてプレーする球場ですけど、やることは変わらない。いつも通り全力で楽しんで、楽しい野球をみんなに見せて、プレーで感謝を伝えたい」。頂点まであと2勝。新たな歴史を作るまでエースはチームの為に腕を振り続ける。