【独占手記】29歳の誕生日迎えた田中正義 初選出の球宴は「楽しみながら、任されたイニングをゼロで終わりたい」
新天地で才能が開花し、監督選抜選手
マイナビオールスターゲーム2023(19日・バンテリンドーム、20日・マツダスタジアム)に監督選抜選手として初選出された日本ハムの田中正義投手(29)が、道新スポーツデジタルに独占手記を寄せた。今年1月にソフトバンクから加入し、新天地で才能が開花。プロ7年目で待望のプロ初勝利を挙げるなど、守護神として定着している。19日に29歳の誕生日を迎えた右腕が、これまでの葛藤と新たな決意をつづった。
オールスター第1戦の19日が誕生日
実は5月に入ったくらいから、オールスター出場を目標に前半戦は頑張ろうと思ってきました。学生の時はテレビでよく見ていましたね。(2006年)藤川(球児)さんの全球真っすぐ勝負とか、(2010年)ダルビッシュさんがカットボールを投げていたのは覚えています。その舞台に立つことができて、選んでいただいた中嶋監督(オリックス)に感謝しているのが一番です。
7月のチーム日程表をもらった時に、誕生日がオールスター第1戦の日だと気付きました。前半戦、頑張ったご褒美なのかもしれません。去年まで7月19日は2軍にいたり、リハビリしていることばかりでした。誕生日とか、考えている場合ではない年が続いていました。
ようやく祝福してくれたみなさんに恩返しができる
ホークスのSNSで「田中投手の誕生日です」とあげてもらって、ありがたかったのですが、心から喜べず、負い目を感じていました。何にも仕事していないのに、何が誕生日だよ。祝われている場合じゃないだろって。6年間まともに働けていなかったので、ようやく祝福してくれたみなさんに恩返しができます。
「シーズン完走」が今年の最低限の目標
20代最後の年、29歳の抱負はこれしかないです。「シーズン完走」。最低限の目標です。いまは疲労を感じていないのですが、栄養と睡眠に気をつけて生活しています。
どうやってあのプレッシャーをいなすか、どう対処していくか
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4月中旬から、抑えのポジションを任せてもらうようになりました。なかなか慣れないですけど、余計なことを考えずマウンドに上がってゼロで返ってくることを意識しています。プレッシャーはもちろん感じますし、それがプロ野球という舞台。どうやってあのプレッシャーをいなすか、どう対処していくかの戦いでもあります。自分はまず1年、離脱せずに頑張ることがやるべきことだと思っています。
笑顔は自然に出ているときも、引きつっているときも
新庄監督からアドバイスしていただいた笑顔は自然に出ているときもありますし、引きつっているときも多いと思います。監督は自分の性格を考えた上で、つねに前向きな言葉を掛けてくれます。一番印象に残っているのは、6月9日の阪神戦(エスコンフィールド北海道)。ピンチの場面でマウンドに来て「全部真っすぐでホームランを打たれて良いから」と言われた時は、気持ちが楽になりました。
北海道のファンのみなさんも、優しく声を掛けてくださいますし、温かく見守ってくれている感じでありがたいです。正直、エスコンと寮の往復しかしていなくて、まだ北海道を感じられていない。休日はピラティス、治療をして、そばが好きなので、そば屋に行って…で終わり。まだそんなに外食には行けていないですけど、寮で出てくる海鮮が本当においしいです。
ゆくゆくは160キロを
第1戦が行われるバンテリンドームは、交流戦の中日戦で自己最速の157キロが出ました。バンテリンドームは投げやすいですし、ゆくゆくは160キロが出るイメージはありますが、オールスターの日は厳しいかなと思います。
もう少ししっかり鍛えて、バランスを崩さないよう気をつけないといけない。楽しみながら、任されたイニングをゼロで終わりたいなと思います。僕たちはマウンドで表現する職業。オールスターの大舞台でも、自分の姿を通して感じてもらえるように頑張ります!
(北海道日本ハムファイターズ投手)