北海が主砲・熊谷の2戦連発で4強入り エスコンでは第1号狙う【南北海道大会】
■全国高校野球選手権南北海道大会第4日(7月19日、札幌円山球場)
▽準々決勝 北海3-2立命館慶祥
八回に右越え決勝ソロ弾
北海が主砲の一撃で接戦をモノにした。2-2で迎えた八回、先頭打者として打席を迎えた4番の熊谷陽輝一塁手(3年)が、2試合連発となる右越えへの決勝ソロを放ち、ベスト4進出に導いた。投げては2番手の岡田彗斗投手(3年)が4回⅓無失点の好投。春の王者は、2年ぶりの夏の甲子園へ向けて、順当に駒を進めている。
全校応援に向かって力強くガッツポーズ
強烈な衝突音を残した打球を、誰もが固唾を飲んで見守った。右翼へ舞い上がった白球は勢いを落とすことなく、スタンドイン。熊谷は二塁を回ったところで、全校応援で沸き立つ三塁スタンドに向けて、右拳を力強く突き上げた。
平川監督も「熊谷の一本に尽きます」 今夏は打率7割5分をキープ
公式戦通算9本目の本塁打は値千金の一発となった。規格外のパワーを披露しているが、意外にも逆方向への本塁打は1年生の紅白戦以来だという。「入ってくれてうれしかった」と白い歯を見せた。平川敦監督(52)も「熊谷の一本に尽きます」と主砲を讃えた。
今夏の札幌支部予選では2試合を戦い、8打数6安打、2本塁打、7打点をマーク。南大会でもここまで8打数6安打、2本塁打、3打点を記録。打率.750をキープする脅威の活躍ぶりだが「今日はそんなに調子が良くなかった」と周囲を驚かせた。数々の強打者を指導してきた平川監督も「実戦で結果を残す」勝負強さを評価する。
高校時代のソフト・木村大成、広島・斉藤優汰と対戦した経験で精神的ゆとり
1年生のころからベンチ入りしている熊谷は多くの好投手たちと対戦している。北海の2学年上だったソフトバンクの木村大成投手(19)とは紅白戦で、昨年のドラフトで広島に入団した斉藤優汰投手(苫小牧中央高出、19)とは公式戦でも相対した。そういった経験が精神面でのゆとりを生んでいる。この日対戦した立命館慶祥の岩渕正晃投手(3年)も140キロ前後の直球を投げ込んでいたが「変化球待ちで(直球が来て)も、振り遅れない自信はあります」と胸を張った。
練習では木製バットを使用
北海のグラウンドには収まらない規格外のパワーを持つ。92メートルある左翼奥には住宅街があるため、10メートル以上の防球フェンスがそびえ立つ。しかし、熊谷は練習で木製バットを使用しているのにも関わらず、最上段に当てるほど飛ばしている。周囲の住民を守るため、というのも木製バットで練習する理由の一つだ。
円山最後の試合は自らの一発で勝利締め
酸いも甘いも経験した円山での最後の戦いを勝利で飾った。昨秋の全道大会決勝ではクラークに敗れるなど、苦い思い出の方が多かったが、今年に入ってからは負けなしの球場。「最後にホームランを打って、こういう試合で、全校応援で、いい締めくくりになった」とニッコリ。甲子園を懸けた戦いは「エスコンフィールド北海道」に舞台を移す。「できれば第1号を打ちたい気持ちはあります」と熊谷。大会ナンバーワンスラッガーが、満を持してエスコンに乗り込む。