旭川明成の小笠原凛太郎が〝エスコン1号〟 初甲子園に王手の18歳メモリアルアーチ【北北海道大会】
■全国高校野球選手権北北海道大会第5日(7月22日、エスコンフィールド北海道)
▽準決勝 旭川明成9-2士別翔雲※八回コールド
七回2死一、二塁、1ボールから真ん中高め直球を左翼ポール直撃弾
初の甲子園まで、あと一つ―。 旭川明成が士別翔雲に大勝し聖地行きへ王手を掛けた。1点リードの七回、7番の小笠原凜太郎左翼手(3年)が〝エスコン1号〟となる3点本塁打を記録。投手陣は先発の千葉隆広投手(3年)が3回1失点、2番手の河瀬晴翔三塁手(3年)が5回1失点と好投を見せた。初の甲子園へ節目の一発を放った小笠原は「今のチームで甲子園に行きたい」と意気込みを示した。
前日21日が18歳の誕生日
大きな、大きな祝砲となった。3-2で迎えた七回2死一、二塁。小笠原は1ボールから真ん中高めの直球を思い切り良く振り抜いた。エスコンでは耳なじみのない甲高い金属音。手応えは十分だった。「切れちゃうかなと思った」白球はそのまま左翼ポールを直撃。小笠原は高々と右手を突き上げた。前日21日は18歳の誕生日。前夜、チームメートから祝福の言葉を掛けてもらっていたが、自らメモリアルのアーチを架けた。
左手有鉤骨骨折後に初めてバットを振ったのは支部代表決定戦
ベンチに戻ると、こみ上げる思いを抑えられず涙を流した。春季全道大会直前、小笠原は練習試合でファウルを放った際に左手有鉤骨を骨折した。最初に診察してもらった病院では「手術をしても(夏の大会に)間に合わない」と告げられ、半ば諦めていたそう。しかし、最後に日頃から見てもらっている医師に診察してもらうと「北大会には間に合う。早ければ支部から出られる」と光が差し込んだ。
「チームメートから迎えてもらったときに気持ちがこみ上げてきた」
腱鞘炎が重なっていたこともあり、バットを振れないまま最後の夏を迎えた。初めてバットを振ったのは旭川支部代表決定戦の旭川北戦。小笠原も「(打撃)練習してなかった」と苦笑いのぶっつけ本番だった。一時は握力も1桁まで落ちるなど当然感覚に狂いは生じていたが、試合に出られる喜びに勝るものはなかった。ここまで来られたのも周囲のサポートがあったからこそ。「ケガから戻ってきてから結果が出なかったり、自分でいいのかなって思っていたのもあったけど、チームメートから迎えてもらったときに気持ちがこみ上げてきた」と涙の理由を明かした。大きなけがを乗り越えた〝ご褒美〟は最高のものとなった。
「まだ甲子園に行っていない学校で勝負したい」と旭川明成に進学
旭川北稜シニアで一緒だった千葉や小野寺謙真捕手(3年)らと「まだ甲子園に行っていない学校で勝負したい。自分たちが入って強くしたい」と旭川明成に進学した。聖地まであと1勝。「明成のテーマが野球を楽しむこと。9回まで全員で野球を楽しみながら勝利をつかんで甲子園まで行きたい」。ここまで支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを込めて悲願を成就させる。