伏見 移籍後初の猛打賞 先制打は「助け合い打法です!」
■パ・リーグ12回戦 日本ハム4-5オリックス(7月22日、ほっともっとフィールド神戸)
18年ぶり11連敗も攻守で奮闘
積み重ねた快音は、チームを勝利に近づけた。日本ハムの伏見寅威捕手(33)が22日、ほっともっとフィールド神戸で行われたオリックス戦に「9番・捕手」で先発出場。先制打を含む3安打で移籍後初の猛打賞をマークした。守っては先発・伊藤大海投手(25)をはじめ6投手を粘り強くリード。2005年以来、18年ぶりの11連敗を喫したチームの中で、ベテランが攻守に気を吐いた。
二回の先制打で何度も右拳を握りしめ
迷い込んだトンネルを打ち破ろうと、必死だった。二回2死二、三塁。左中間へ2点二塁打を放った伏見は、塁上で何度も右拳を握りしめて喜びを表現した。直後に球団を通して発したコメントは「打ったのはカットボール。助け合い打法です!」。価値ある一打が持つ意味を、短い言葉に詰め込んだ。
球宴前に喫した10連敗のうち7試合は1点差ゲーム。拮抗した展開で競り負ける経験を繰り返すたび、ナインに降りかかる重圧は増していた。先制打の直前には、8番・山田が1死二、三塁で空振り三振。この日も漂った嫌な空気を、そのバットで振り払った。
「野球は助け合いが大事。『自分のせいだ』ってなるところも、打つことで救われる」
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「最近はチャンスがあるけど、あと1本が打てなかった。それでロースコアのゲームに勝てないことが多かった。本当は山田が打点を挙げたかったと思うけど、野球は助け合いが大事。『自分のせいだ』ってなるところも、打つことで救われる。たまたま、きょうは僕だった。その後もイソ(五十幡)が打って(松本)剛が打った。こういうのが野球だと思う」
打っても勝たなければなんも楽しくない
2、3打席目も安打を連ねて好機を演出。古巣相手に存在感を示したが、ゲーム後の表情は晴れなかった。「今はこの状況なので。打てなくても勝てたら嬉しいですし、ヒットを3、4本打っても負けたらなんも楽しくない。きょうは(二回の)4点だけで結局勝ちきれなかった。バッテリーの反省点です」と、悔しさばかりが口を突いた。
昨季まで所属したオリックスではリーグ連覇の栄光も、低迷期の屈辱も味わった。厳しいプロの世界で酸いも甘いも噛みしめた男は、近年低迷する日本ハムに新風を吹き込むため、生まれ故郷に戻ってきた。
「どうやったら勝てるかをみんなで試行錯誤したい」
「僕はこのチームの一員なので、他人行儀な感じじゃなくて一緒にどうやったら勝てるかをみんなで試行錯誤したい。オリックスでやっていたことをやれば勝てるか?っていったら、そうじゃないと思う。ファイターズのやり方があると思うので、それを早く探して、どんどん良い方向にチームを持っていきたいなと思います」。鋭い洞察力とリーダーシップで、苦しい局面を打開する。