北海が2年ぶり40度目の甲子園 熊谷の負傷がチーム力底上げに【南北海道大会】
■全国高校野球選手権南北海道大会最終日(7月25日、エスコンフィールド北海道)
▽決勝 北海11-2北海道栄
決勝で大量11得点
逆境を乗り越えて、強さを身に付けた。北海が北海道栄を投打で圧倒し、2年ぶり40度目の甲子園出場を決めた。先発した熊谷陽輝投手(3年)が7回1失点の好投を見せると、打線もつながり大量11得点。春先には熊谷の負傷というアクシデントもあったが、今大会16回1失点の安定感を誇ったエース・岡田彗斗投手(3年)を筆頭に、チーム力が向上した。春夏優勝と文句なしの結果を残し、聖地へと乗り込む。
昨秋の全道決勝の悔しさを上書きにするため熊谷が決勝で先発
平川敦監督(52)は、最後は熊谷に先発マウンドを託すと決めていた。昨秋の全道大会決勝でクラークに敗れ、選抜出場を逃した。そのマウンドに立っていたのは、背番号1を付けていた熊谷。悔しさを上書きするためには、熊谷以外の選択肢はなかった。右腕も「監督の気持ちに応えよう」と意気に感じ、決勝の先発起用に結果で応えた。大量援護に守られながら、今季公式戦最長の7回を投げ切った。
「後ろにいいピッチャーが3人いるので、思い切って最初から飛ばしていこうと思いました。最後はやるだけなので、自分がいけるところまで。やっぱり最後は気持ちでした」
3月の沖縄遠征中に熊谷が右肘に違和感
熊谷を大黒柱に据えるはずだった2023年は、アクシデントから始まった。沖縄遠征中の3月下旬に右肘に違和感を覚え、4月以降は投球を控えていた。まさかの事態に熊谷もフラストレーションがたまった。ブルペン投球も楽しみながら行うなど、投げることが大好きだった熊谷にも笑顔が消えた。女房役の大石広那(こうだ、2年)は「今年は苦しい表情でずっと投げている感じだった」と振り返る。
他の投手の登板が増え、それぞれ成長 岡田はエース格に台頭
しかし、この危機がチームを強くした。その沖縄・関東遠征では、自然と他の投手の登板が多くなり、経験を積めた。中でも岡田は、水を得た魚のように、右肩上がりの成長曲線を描いた。横浜や前橋育英といった強豪校相手にも練習試合で好投。春から背番号1を付け、春季全道2回戦の札幌日大高戦では完封勝利を記録するなど、投げるたびに自信を深めていった。熊谷も岡田の安定感には「チームの柱。今のエースは岡田」と信頼を寄せる。
岡田「さらに自覚が必要。南北海道代表としてのエースなので」
岡田は「エースとしていいピッチングができた。甲子園に行くからには、さらに自覚が必要。南北海道代表としてのエースなので、そこの自覚はあります」と力を込めた。平川監督も「熊谷のケガで岡田が出てきてくれたのは良かった」と目を細める。岡田、熊谷の他にも左腕の長内陽大(3年)や大型右腕の橋本理央(3年)など、多彩な投手陣を揃えられるようになったのは〝ケガの功名〟だった。
甲子園では公式戦で唯一敗れたクラークへのリベンジも視野
聖地行きの切符は手に入れた。甲子園では、一つやっておきたいことがある。このチームが始まった昨秋から公式戦で唯一敗戦を喫したクラークへのリベンジだ。平川監督は「クラークとやりたいですね。クラークにしか負けてないし、最後にやりたい」と互いに勝ち上がっての再戦を臨んでいる。熊谷も「自分もやりたいです!」と鼻息は荒い。
2016年の準優勝を超える頂きへ
そして、その先に見据えるのはもちろん頂上、2016年の準優勝超えを狙う。当時、北海の躍進をテレビで観戦していた岡田は「自分たちが記録を塗り替えたい」と意気込んだ。北海道勢18年ぶりの優勝へ向けて、名門・北海が挑む。