6回0封の上原 登板日の独自トレで進化「今年のオープン戦最後の登板から続けています」
■パ・リーグ17回戦 日本ハム3ー2楽天(7月26日、楽天モバイルパーク宮城)
粘りの投球で尻上がり 女房役の伏見と先制2ランのハンソンに感謝
日本ハムの上原健太投手(29)が26日、楽天戦に先発し、6回4安打無失点の快投で連敗脱出に大きく貢献した。立ち上がりに苦しみ、四回まで毎回走者を背負ったが、決定打を許さない粘りの投球を披露。ハンソンの先制2ランでリードをもらった後はリズムに乗り、五、六回をともに3者凡退に封じた。
「伏見さんのリードに助けられました。すぐに僕の状態を把握して、良いリードをしてもらった。あとはハンソンがあそこ(五回)で一発打ってくれて、一瞬流れが来たところにうまく乗っていけた。それまで苦し紛れに1イニングずつ投げていたので、本当に助かりました」
チームは泥沼13連敗中 まさかの策で緊張から脱却
負ければ、球団ワーストに並ぶ14連敗。マウンドに上がる前には「本当にやばかった」と極度の緊張を感じていた。乗り越えるために取った〝作戦〟は、翌日に先発する後輩右腕と重圧を共有することだった。
「僕がきょうもし試合を壊してしまうと、(連敗記録は)球団ワーストタイになってしまう。だから冗談で北山には『そうなったら記録を更新するのおまえだよ』って言っていました(笑)。そうやって自分の緊張を落ち着かせていたんです。きょう勝ったので、だからこそ言える話なんですけど」と、ちゃめっ気たっぷりの笑顔を見せた。
20代最後のシーズン オリジナルの練習法でレベルアップ
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未知なる調整法が、上原を一段上の投手へと進化させた。今季が20代最後のシーズン。リスクは承知の上、背水の覚悟で取り入れたのは、登板当日のウエートトレーニングだ。
「今年のオープン戦最後の登板から、ずっと続けています。瞬発系を上げるようなトレーニングで、ちょっと重さを使って、パンプアップしないギリギリ手前ぐらいまでやる。パンプアップしちゃったら疲労になってしまうので。効果が6時間後くらいから出てくるらしいので、試合の6時間前までには終わらせるようにしています。筋出力が上がるのと、持久力がちょっと伸びる。それは結構、実感がある。もちろんきょうもやって、良い感じでした」
成長意欲、探究心、チャレンジ精神が上原の武器
まだ同様のトレーニングを行っている選手は少なく、必ず効果が出る保証はなかった。それでも、左腕は新しい挑戦に踏み切った。「何かいいのないかなって調べて、こういうのあるんだって見つけて、トレーナーに聞いてみたら、まだ立証はされていない、例が少ないっていう話だった。ただ、それも一つありなんじゃないかって。やってみたら良かったので、続けています」
少しでも成長したいと思う意欲、より良い練習方法がないか考え続ける探究心、失敗することを恐れないチャレンジ精神―。上原がマウンドで輝く理由だ。
再認識した勝利の喜び 試合後に誓ったさらなる快投
この日は降板後に追いつかれ、白星はつかなかった。それでも「めちゃめちゃうれしいですよ。久しぶりに勝ち試合に投げられたので。試合に勝つってこんなにうれしいことなんだって、本当に思いました」と喜びに浸った。「次回はもっと早く野手がリズムに乗れるような投球を心がけてやっていきたい」。向上心の塊はさらなる高みを目指し、前に進み続ける。